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2020-07-17 00:00
(連載2)共産国家中国が国際秩序を狂わせる
倉西 雅子
政治学者
こうした中国の暴力的な行動の動機を辿れば、所有権を否定する共産主義思想に行き着きます。権利とは、一般的に過去における正当な行為に基づいて生じるものであり、それ故に法的な保護を要するのですが、共産主義は原理的に個々の私的な所有を保護しようとする発想が希薄です。
この態度は、個人レベルでも国家レベルでも同様であり、よって共産主義者は私権を尊重するどころか理念的に不整合と認識しています。共産党による暴力革命が是認されるように、‘共産主義の正義’、即ち、全世界の共産化のために必要な行動は論理的に正当化されうるのであり、その際他国の権利を毀損することは中国の中では筋が通っているのです。
文明と野蛮とを区別する基準の一つが法秩序の有無にあるとしますと、共産主義体制とは、人類の最終段階を自認しながら、その実、法なき野蛮な時代への回帰に他ならないように思えます。そして、現代の帝国とも称されるように、他国の権利を認めないその姿勢は、過去の歴代中華帝国とも共通しています。しかも、中華思想を持つとともに共産主義者でもあるために、彼らは全世界の共産主義化をも人類の歩むべき‘正しい未来’として、偉大なる中華民族の復興と共産党体制の拡大をまとめて達成しようとしているのです。
このように考えますと、南シナ海問題は、東南アジア諸国との間の地域的な紛争に留まらず、全人類の未来に関わる重大な意味を持ちます。先日、中国民政省は、南シナ海に海南省三沙市の行政区 として「西沙区」と「南沙区」を新たに設け、近い将来あっては防空識別圏を設定するとも予測されています。中国の違法不法行為をこのまま放置しますと、中国に引き摺られ、全人類は、国際秩序が書き換えられた世界に放り込まれてしまいましょう。時には、犠牲を覚悟してでも阻止しなければならないことも、この世にはあるのではないかと思うのです。(おわり)
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