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2020-07-16 00:00
(連載1)共産国家中国が国際秩序を狂わせる
倉西 雅子
政治学者
各国政府が新型コロナウイルス(COVID-19)対策に忙殺される中、震源地であった中国は、南シナ海において着々と軍事拠点化を進めています。こうした中国の動きに対しては、各メディアとも‘実効支配を強めている’とする書き方が散見されるのですが、南シナ海問題につきましては、既に2016年7月に常設仲裁裁判所が国際法上の根拠がないとする判決を下しております。もはや‘実効支配’とは言い難く、国際法上の犯罪行為、あるいは、違法行為に等しいと言えましょう。法的根拠なくして一方的に武力で現状を変更しているのですから(国連憲章にも反する…)。
とりわけ、中国の南シナ海における行為が懸念されるのは、同問題が南シナ海における領有権やEEZ等の権利を争う東南アジア諸国のみならず、国際法秩序に対する深刻な破壊行為であるからです。国家の領域に関する権利は、凡そその全てが国際法によって律せられています。二国間による国境画定条約によって国境線が確定しているケースもあるのですが、水域に関して今日基本的な法典となるのは、1994年11月に発効した国連海洋法条約です。
現在、168か国が当事国に名を連ねており、アメリカは批准してはいないものの(尤も、アメリカは、その前身でもあり、かつ、今日なおも効力を有する「ジュネーブ海洋法4条約」は批准…)、中国をはじめ凡そ全世界の諸国が同条約の定める法秩序の下にあります。同条約は、領海、EEZ、大陸棚、島の制度から航海の自由の原則に至るまで、海洋に関するありとあらゆる規定を包括的に含んでいるからです。
言い換えますと、国連海洋法条約が存在するからこそ、中国は、南シナ海において12カイリの領海やEEZの設定等を主張し得たとも言えます。しかしながら、中国は、常設仲裁裁判所が示した判決を無視したのですから、全世界の海洋を律する国際法秩序そのものを否定したと言っても過言ではありません。そして、自らも依る国連海洋法条約に基づく法秩序を無視したことは、中国の暴力による南シナ海の占領という行為をも説明しているのです。(つづく)
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