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2020-06-30 00:00
(連載2)習近平氏が犯した最大の間違い
岡本 裕明
海外事業経営者
同じ、アメリカと敵対したソ連はどうだったでしょうか?崩壊です。そしてその後のロシアが世界を牛耳る国家になったでしょうか?今やロシアが世界に誇れるようなものは何一つありません。かつては宇宙開発でアメリカの先を行く先進国家でしたが今では錆びついた施設に成り果てています。それはプーチン氏が自分の地位にしがみついたからです。国家、国民より自己防衛をしたからです。
そして習近平氏も同様に共産党と自分の派閥とそして最後、自分の保身を最優先してしまいました。今になって香港を中国化し、台湾を強烈に圧迫し、共産党体制へのあらゆる発言に容赦ない反論を繰り返すのは一度決めた方針を変えられない悲しい性であるからでしょう。個人的には近代中国において胡耀邦国家主席の運営が2000年代のあるべき開かれた中国の方向性を示していたと思います。そしてその源流が89年6月の天安門事件につながったとすれば若者が支える中国の民主化のチャンスは日本や韓国同様、同じころにあったのであります。
中国が今、向かうところは何処でしょうか?「世界の工場」で手にしたバブルマネーをもとに各国各地で不動産や企業を買いまくっていたのは数年前まで。中国にあった外資の工場は東南アジアや西アジアに移転し、アメリカ製のハイテク機器は入りづらくなり、一帯一路政策を維持するのに不可欠なバラマキも容易ではなくなってきました。
習近平氏の最大の間違いは共産党を進化させられなかったことにあります。2013年に国家主席になってから世界の変化に対して頑なに、埃をかぶった経典のような共産党の大枠から飛び出すことはありませんでした。2017年の「習近平思想」は「強い中国」を標榜するものですが、これは毛沢東の「新中国」、鄧小平の「豊かな中国」との三部作とも考えられます。ならば強さが示されなければどうなるのか、ある意味、習近平氏の運営能力が近未来の中国の行方を占うともいえるのでしょう。習近平氏を頂点とするごく一部の常務委員会で13億の民の意思を決定するという、閉鎖的で不自由な社会は常識的に考えて機能するとは思えないのです。中国には優秀な人材が多く、研究者レベルでは突出した能力を持っている人が潜在的に多いのです。その才能を引き出せないのはある意味、世界にとっての損失でもあると私は考えています。(おわり)
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