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2020-06-26 00:00
(連載2)本当の不況はこれから
鈴木 馨祐
外務副大臣
加えて、個人消費。個人消費が以前の状況に100%戻ることは正直考えられない状況です。少なくとも消費のスタイルが全部ではないにしても急激に変化することは確実です。またインバウンドが3000万人を超えるような平時に戻るのはワクチン開発以降と考えざるを得ません。そのような変化の時期に、従来の消費マーケットを取りに行くのではなく、新しい消費マーケットを作りだし、時代の変化を先取りし自らも柔軟に変化できる、供給サイドのしなやかさが求められます。そこに適応できない企業は今後厳しい時代を迎える可能性が高い。
このような要素を考えただけでも、これからの経済状況の深刻さが理解いただけると思います。5%のマイナス成長で大不況というのがこれまでの感覚です。4-5月は戦後最悪のマイナスを各国で記録していますが、これから年末にかけて、4-5月に比べればましな状況になると思われます。一方で、一時停止ではない真の不況がやってくる可能性もまた極めて高い。そして、それがいつ始まりいつまで続くのか、感染の終息やワクチンや薬の開発などさまざまな要素が不透明で、今の段階では読めないというのが正直なところです。
今後、こうした構造変化を見据えた雇用調整や、自主廃業、倒産などが増加すれば、雇用への影響が出る可能性は高い。リーマンショックの時は、失業のピークはリーマンブラザーズ破綻から日本で10か月後、アメリカで14か月後でした。今の状況はリーマンショックで言えばリーマンブラザーズが破綻した日の途中という状況といってもいい。そして今後、インバウンドやサービスなどを中心とした厳しい産業において倒産が増えれば、金融不安の引き金を引くことになりかねません。
我々が今すべきことは、こうした今後の長期的になりうる経済不況をなるべく小さく済ませるための対策であり、また同時に需要などの環境変化に対応できる経済構造の変革を促す政策です。それを総需要が長期的に減るという環境の中で行わねばなりません。そして数年かかる需要の変化を公需で全て埋めることは机上の理屈としてはあり得ても、実際の経済の流れや長期的な経済成長、国際競争力、マーケットや経済の現実を考えれば現実的ではありません。政府与党として、実態を冷静に見極め、その場しのぎでない真に責任ある政策の実行を機動的に行っていくことが求められます。(おわり)
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