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2020-06-19 00:00
北朝鮮の「爆破」、日本はどう取るべきか
加藤 成一
元弁護士
北朝鮮は、6月16日北朝鮮の開城に設置された韓国との共同連絡事務所を爆破した。金正恩朝鮮労働党委員長の妹金与正氏は、13日韓国の脱北者団体による正恩氏非難ビラ散布の報復として共同連絡事務所の爆破を予告していた。爆破に対して、韓国大統領府は衝撃を受け、強い遺憾の意を表した。これにより少なくとも当面は「南北融和」は後退した。爆破の背景には様々な見方があるが、北朝鮮の経済開発に協力しない韓国の文大統領に対する不満に加え、同大統領が事実上仲介・斡旋した米朝非核化交渉の挫折による失望感や、コロナ禍による国内経済状態の苦境もあろう。
しかし、米朝非核化交渉の挫折は、「完全非核化」に応じない北朝鮮側の姿勢によるところが大きい。これまでの米朝交渉の経過を見れば、北朝鮮側にとっての米朝非核化交渉のゴールには、米国がもともと求めていたCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な解体)を受け入れる余地がなかったからだ。北朝鮮側は、すでに保有する核・ミサイルの一定の削減に応じたとしても「完全非核化」に応じる意思はなく、「核保有国」としての地位を維持したまま、米国から経済制裁解除等の譲歩を引き出そうとしてる。今後もこうした北朝鮮側の姿勢に特段の変化が生じない限り米朝非核化交渉の進展はない。
ところで、「非核保有国」である日本としては、安全保障上、核兵器が存在する「朝鮮半島」を容認できないことは言うまでもない。仮に、文大統領が進める「南北融和路線」が、南北朝鮮の「統一」を第一目標とし、「統一」を急ぐあまり、将来の「統一朝鮮」における核の存在を容認するものであるとすれば、日本は米国と協力して、そのような「核を持った統一朝鮮」の成立は阻止しなければならない。
このような観点から見れば、今回の北朝鮮による南北共同連絡事務所の爆破による「南北融和」の後退は、日本にとっては必ずしも不利な事実ではない。こうした見方は「国益」を考えた国際政治の冷厳なリアリズムである。北東アジアにおける「核を持った統一朝鮮」の出現は、日本のみならず、中国もロシアも決して望まないであろう。
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