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2020-06-16 00:00
マハティール前首相とマレーシア情勢
真田 幸光
大学教員
私の尊敬する知人で、この四月までマレーシアに駐在されていた方から、以下のように、マレーシアの政局動向についての情報を戴きました。事態は混沌としているようです。そして、いよいよ、「尊敬されてきたマハティール前首相」の人気も落ち始め、更に、「晩節は汚さぬ方が良いであろう」との声が、国民から高まっているようです。以下、戴きました情報です。
3月初めの政変後、コロナの問題もあり、うやむやになってしまった政治問題ですが、5月18日の国会で提出予定であったマハティールを中心とした野党連合(旧与党)の不信任案は時期が時期だけに審議されることもなく先送りとなりましたが、国王は現政権がちゃんとした手順を踏んだものであると宣言したこともあり、いまだにくすぶっています。争点は、旧政権でも現政権でも与党連合の中心であるベルサトゥ党を巡る問題です。現首相のムヒディンは、3月の旧与党連合の大事な会合にマハティールが出席しなかったことから、マハティールはベルサトゥを離れたと解釈しているのに対し、マハティールはまだ籍が残っていると主張しているところが根本的な問題のようです。もしマハティールにベルサトゥの籍が残っているのであれば、マハティールは現与党政権に所属することになりますし、ごく最近の情報では再びアンワルと手を組むという話もあるようですので与野党の勢力図が変わります。ムヒディンも、マハティールが暫定首相に任命された時には、再びマハティールが正式な首相になると思っていた位であり、自分がマハティールを追い落としたのではないと未だに釈明していますが、マハティールと対立していたUMNOの影響があったことは明白です。(ベルサトゥはマハティールとムヒディンで立ち上げた政党であり、ムヒディンは自分が裏切り者ではないと主張したいようです。)
ところが、ここ最近の国民の意識に少し変化が出てきて、「マハティールのこれまでの功績には感謝、尊敬しつつご勇退されてもいいのではないか」という声が出てきているとのこと。連日新聞でマハティールの現政権批判が掲載されていますが、国民の目からは、あれだけの功労者が政争で晩節を汚しているのではないかと思われるようになってきたということです。
2023年には総選挙があり、いずれにせよ国民の審判が下りますが、その時にはマハティールは97歳となります。国民はマハティールであれ、誰であれ足下のコロナ問題、そして原油安による経済不況に対して成果を挙げてくれればよい、そしてその結果については選挙という形で決着を、というムードに変わってきたようです。政争よりもロックダウンで傷ついた経済再生が喫緊の課題ですので、与野党で争っている場合ではないというとことのようです。
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