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2020-05-31 00:00
(連載2)香港は21世紀の火薬庫となるのか
岡本 裕明
海外事業経営者
香港は世界的な貿易、金融都市であり、マネーを扱う市場としての機能も持ってきました。近年は度重なる民主化問題でシンガポールなどに企業そのものやマネーが流出するケースも見られますが、今回の決定があればそれを一気に加速し、香港経済は崩壊し、都市の名残を残すだけになってしまうことすら起こり得ます。そして新しい中国本土の枠組みに取り込まれた「新香港」が生まれてしまいます。
この動きは西側諸国をひどく刺激することになります。カナダ、オーストラリア、英国が共同声明を発表し、カナダのトルドー首相は「われわれは香港の状況を懸念している。30万人のカナダ国民が香港に居住しており、これが香港の一国二制度継続を望む理由の一つだ」と中国を強く非難しています。アメリカはトランプ大統領だけでなく、バイデン氏も「米国は世界の他の国々に中国の行動を非難するよう呼び掛けるべきだ」とし、むしろトランプ大統領は手ぬるいと厳しく批判しているのです。
個人的には日本人や日本企業で香港に事務所を構えているところは撤退計画を考え、いつでも実行に移せる準備はするべきではないかと思います。体制がどう維持されるか予断を許さないと思いますが、治安が極めて悪化することを考えるとビジネスができる環境にないと思います。私も香港出張が予定されているのですが、その判断に悩むところであります。香港マネーは当面、シンガポールに退避するのでしょうか?東京が税制の特例がある国際金融市場でも作っていれば受け皿になれたと思います。
中国の西側による包囲網はより厳しくそして双方のバトルが激しくなるとみています。あらゆる対策と同時に情報戦も繰り広げながら一歩先を見据えないと危険かと思います。日本はコロナ疲れで本件の反応が鈍いようですが、これはとんでもない事態への引き金になるとみています。(おわり)
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