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2020-05-28 00:00
韓国大統領選挙まであと2年
荒木 和博
拓殖大学教授
さる5月10日、韓国の文在寅政権は3周年を迎えました。私は実はこの間ずっと来年が大統領選挙だと思い込んでいたのですが、まだ2年残っていて再来年が選挙なのですね。いつも12月に選挙で年をまたいで2月末に就任だったのが、朴槿恵前大統領の解任に伴う大統領選挙で時期がずれたのと、早くやめてもらいたいと思う気持ちがあり、希望的観測で話していました。これまで結構あちこちで来年が選挙と言ったり書いたりしていたので恥かしながら全部まとめてお詫びして訂正します。
その文在寅政権は総選挙で圧勝した勢いで今後さらに保守派に対する圧迫を強めています。何しろ韓国の大統領が辞めた後に不幸になることはチコちゃんでも知っています。今の政権も曺国元法相の不正などを見るまでもなく、もし政権交代したら大統領以下現在の与党にいる主要な人間の大部分に逮捕される可能性があるといえるでしょう。そうしないために大統領が「絶対に政権交代をさせてはならない」と思うのは自然な思考です。もはや民主主義がどうとか、そんなことは生き残るためには何の関係もありません。まさに「仁義なき戦い」です。そんな文在寅大統領にとっては、看板政策である南北関係は生命線です。金与正がボロクソにけなそうと、監視哨に機関銃の弾が撃ち込まれようと、全てスルーするのは自己否定に繋げないためです。
しかし、たとえ時の政権がどんな努力をしても、韓国に民主主義があり大統領選挙がある限り、政権には後半に構造的な綻びが出ます。任期5年で単任制の大統領に権力が集中している制度がもたらす避けがたい帰結として、そのリーダーシップは残り任期に比例して低下するのです。内部の不協和音が出たり後継者争いがあったりで、次の与党大統領候補ですら現政権を否定するかも知れません(保守系の同じ党の候補だった朴槿恵前大統領も前任者の李明博大統領を事実上否定して当選しました)。まあこれからの「あと2年」は「仁義なき戦い」の世界になるでしょう。文在寅大統領にとって死活的な意味合いを持つ北朝鮮も一寸先は闇、不透明感漂う今後の世界情勢次第では無事に済まない可能性が高いと見ています。
それにしても日本でコロナの感染拡大防止で韓国を見習えと言っている皆さんは再度のクラスター発生と、それ以前に政府によるあの極端な個人情報保護侵害をどう思っているのでしょう。せめて見習うなら台湾を、と言ってもらいたいのですが。
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