ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2020-04-22 00:00
(連載2)WHOの迷走と国際機関の存在意義
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
WHOの対外発信は中国寄りであり、なおかつ公平性が欠けている。WHOが中国への過剰な配慮をせず、適切な情報発信と指導を行っていれば、多くの国が被害国になりおびただしい死者が出る事態は避けられたかもしれない。その責任はあまりにも重い。このような経緯を踏まえれば、トランプ大統領が噛みつくのは当然だ。
「WHOは大きく失敗した」と言明したトランプ大統領は「米国による大規模な出資にもかかわらず、どういう訳かWHOは中国中心主義となっている。われわれはこうした点を精査する」と不信感をあらわにした。この発言は、無神経であるとか世界の団結を妨げているとか批判を受けているが、ある意味でアメリカは当たり前のことを言っているのに過ぎないという解釈もできるだろう。これだけの死者、ニューヨークで言えば、あの9・11の犠牲者を超える死者を出したことに対する責任の追及が必要であり、その矛先は「中国とWHO」ということになるのである。
これに対しWHOのブルース・アイルワード事務局長補佐官は「『新型コロナ発生の早い段階で可能な限りあらゆることを十分に利用し、新型コロナを理解するために中国と協力していくことは極めて重要だ』とし、WHOと中国との関係を擁護」(2020年4月8日、ロイター通信)する発言をし、その他の幹部も折に触れてこれまでの活動の正当性を主張している。まあ、このようなことから考えれば、「そもそも国際機関は公平性を失った状態で存在する意義があるのか」ということになるのではないか。「そもそも存在価値がない」という議論は西洋世界に国際社会というものが形成されて以来ずっとあるものなのだが、それはとりあえず脇に置くとして、WHOが期待される役割を果たせているのか大きな疑問符が状況では、存在意義が肯定的に評価されるかは大きな問題である。そういう意味で米国がWHOへの拠出金を停止したことはトランプ大統領のいつもの「ショー」ということ以上の示唆的な出来事ともいえるのである。
もちろん、WHOからの脱退を勧めるものではない。しかし、上記のように何故1月の段階でパンデミックの懸念を表明しなかったのか。そのような当たり前のことに関する調査と、それに対する責任の追及は逃れるものではないのではないか。(おわり)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会