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2020-04-15 00:00
(連載2)原油価格とトランプ大統領の外交戦略
岡本 裕明
海外事業経営者
一方、アメリカのシェールオイル業界の体力のもろさも見逃せません。過去10年にこの業界に投じられたとされる43兆円の資本がほとんど回収できていません。そして今回の原油価格崩落で中小のシェールオイル企業は次々と倒産しています。ここでトランプ大統領が乗り出します。まずサウジとロシアに介入し、再度減産に向けた調整を行います。そして4月9日から4日間にわたりOPECプラス会議とG20エネルギー相会議、更にトランプ大統領によるキーマンとの電話交渉が断続的に行われ産油量の日量の約10%に当たる970万バレルの減産を引き出します。ただ、これは第一弾とみており、アメリカ、カナダ、ブラジルなど非OPEC産油国も協調するような発表が今後も行われ、市場に刺激を与えるとみています。
4月9日の会議ではメキシコがOPECプラスの減産要請にNOを突きつけましたがトランプ大統領がメキシコの減産相当をアメリカが肩代わりするという奇妙な政治決着をつけました。これはトランプ大統領が11月の大統領選が迫る中、COVID-19という防御的政策が主流となり、得意の攻撃的な外交展開ができないため、ここでポイント稼ぎしたかったように見えます。
また会議をまとめられなかったサウジに貸しを作り、ロシアにはディールに乗りやすいお膳立てをし、メキシコにも恩を売り、隣国で産油国のカナダ経済をサポートするという外交的には完勝ともいえる戦略だったとみています。もちろん自国の原油業界への貢献を通じて選挙対策もできたことになるのでしょう。
あとは原油価格が思惑通りに上昇するかですが、世界の主要産油国が協調した初の取り組みは目先の減産量にかかわらず評価されてくるものとみています。経済が一定の水準を取り戻すには物価水準の緩やかな上昇が欠かせません。原油価格の下落は消費者物価指数を引き下げ、経済のパフォーマンスが下がったという評価となるだけにCOVID-19の最中、評価されるべき外交戦略だったといえそうです。(おわり)
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