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2020-04-10 00:00
(連載2)現金給付問題にみる危機の本質
倉西 雅子
政治学者
第一の問題は、新型コロナウイルス禍が長期化する可能性です。ウイルスが長期間流行した例も多く、またウイルスの特性によっては完治せず半永久的に排出できないこともあるからです。第二の問題点は、画期的な治療薬やワクチンの開発等により、たとえ新型コロナウイルス禍が終息したとしても、経済状況は元の状態には戻らない可能性です。今般の感染症の拡大により、中国の覇権主義や一党独裁体制に由来する政治的リスクのみならず、経済の中国依存体質のリスクが顕在化しましたし、グローバル化にも限界が見えてきました。経済全体を見ましても、ポスト・コロナの時代は、それまでとは様変わりし、国内経済が重視される方向へと移行してゆくことが予測されます。
第三に、可能性として指摘しておくべきは、有事体制が恒常化してしまう事態もあり得るということです。米中対立が昂じて軍事的衝突に至り、同盟国を含め、各国において戦時体制が敷かれるかもしれません。あるいは、新型コロナウイルス禍そのものが一種の‘有事’ですので、国民の基本的な自由や権利が制約を受け、自由主義国でも国民監視体制が強化されるかもしれません。現状を見る限り、何れのシナリオも短期終息論よりも可能性としては高く、対策は長期化を前提として策定した方が、国民の痛みを緩和できるということにもなりましょう。
この観点からしますと、現金給付政策よりも、給付目的を所得補償ではなく失業対策や起業支援に定め、失業保険制度の拡充、非保険加入者を対象とした手当金支給制度、あるいは、起業資金支援制度の設置とすべきなのかもしれません。同時に、政府は、ハローワークを介した転職の斡旋や職業訓練にも予算を振り向けると共に、収益減少に直面している民間の人々も、知恵を絞って積極的に情報を発信・交換すべきとも言えましょう。
活力ある経済を維持するためには、危機の本質を見極め、それに的確、かつ、臨機応変に対応する政策こそ必要とされています。単純な給付政策では持続性がなく、一つ間違えますと‘分配’を権力の源とする”共産主義体制”へのステップにもなりかねませんので、国民の自助努力やサバイバル戦略をも促し、かつ、全体としては経済構造の円滑なる移行に資するような政策こそ望まれるのではないかと思うのです。(おわり)
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