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2020-03-25 00:00
渡辺啓貴帝京大教授のご意見に大賛成
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
3月23日付けの姉妹e-論壇「議論百出」に掲載された渡邊啓貴氏の「今こそ一段階レベルアップした真の『見識外交』を」の内容は素晴らしいもので、皆が真剣に読み検討されんことを心から期待する。渡辺氏は、コロナウイルス騒ぎは今やグローバル・イッシューだ。日本はこんな時こそ世界をおもんばかって正面から取り組む姿勢を記すべきだ。「湾岸トラウマ」、「イラク戦争」に際し日本の姿勢はそうでなかったとの旨を述べておられる。「イラク戦争」へ突っ走ろうとしていた時、フランスのシラク大統領は、真剣にブッシュ大統領に忠告したことを思い起こす。当時の戦争気分横溢の米社会には、一時フランス排斥の空気があふれた。フレンチフライ・ポテトの名前をフリーダム・フライ・ポテトに変えたりした。しかし、今の米の国力の下降はその時から始まった。いまだにその後始末に悩んでいるのだ。
欧州では、中国はコロナの発生地にしろ、医者や医療関係協力で評価されているとも述べられている。筆者が、取材した範囲でも同じだ。米中のコロナ発生をめぐり、お前のところからだと罵り合いは面白おかしく報道されている。米中の現場の外交官は大変だなと思う。ワシントンの崔天凱・中国大使の苦しい記者会見は、読んでいて同情を禁じえなかった。崔大使は、外交官になった際、朝鮮語を割り当てられた。当時、日本担当は一番の日の当たるコースだった。自分も日本担当になりたかったとある人に内話しておられる。裏街道のコースの中で色々努力をされた結果、今の重要ポストに長期務めておられる。
筆者の知る限りでは、良識ある米中の人々は、今の米中のいがみ合いを眉をひそめてみておられる。欧州の知人は、EUにとり中国は今や重要な貿易パートナーであり、多くの投資をもたらしてくれる存在だ。EUをもし乗っ取り支配しようとこころみるなら、必ず失敗する。EUは、米にも中国にもつかない。中立だとまで述べる学者もいる。米中の争いは、覇権争いではなく、二人の巨人が取っ組み合いをしているのに過ぎないとも述べる。
米の同盟国の日本としては、また、尖閣の領海侵犯を繰り返す中国の戦闘的なスタンスに直面している立場としては、釈然としないが、世界にはこうした空気もあることは念頭において置くべきだろう。今回のコロナ騒動は、今まであらゆる面で上位にあり、アジアを見下していた事態が逆転し、欧米が慌てふためいていることだ。今まで、軽蔑の対象でいろいろ不手際をなじっていたのが、わが身に降りかかりつつあるのだ。日中韓の3国とも、それぞれうまくやっていたのだ、それが分かったと述べる米の学者もいる。今や米は、韓国の検査器具を緊急輸入しようとしたり、中国からの医療関係製品の関税をチャラにしようともしている。日本は、国際社会で派手にふるまうのは苦手で遠慮することが多いが、オリンピック開催国として、否応なしに先導を取らざるを得ない立場でもある。世界は、心ひそかにそれを願ってもいるのだ。
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