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2020-03-13 00:00
神谷万丈氏の「中国のリスクから目をそらすな」へのコメント
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
2月13日付けで、姉妹団体の日本国際フォーラムのホームページに掲載されているの神谷万丈・日本国際フォーラム上席研究員の「中国のリスクから目をそらすな」(
https://www.jfir.or.jp/j/article/kamiya/200213.html
)の内容につきコメントしたい。神谷氏は、尖閣諸島問題などに直面する日本は以前、中国の脅威につき騒いでいたが、今欧米諸国がその脅威に真剣になりだしたのに、反対に却って中国との関係改善に前のめりの動きだ。そのギャップが心配だというものだ。そして日本は、もっと香港や新疆ウイグル自治区の状況に対しキチンと発言するべきだと述べられておられ、すべてもっともな話だ。以前中国との最前線の現場でのたうち回っていた経験からコメントしたい。
1993年から2001年にかけての米クリントン大統領時代だ。その頃の米国は日本たたきに大忙しだった。ニューヨークタイムズ紙やCNNが毎日のごとく悪口だった。ベトナム難民支援が足りない、日本の男女差別は前近代的だ。果ては、日本の若い女は性の概念が希薄で、イエロータクシーだなどと言うものさえあった。そして、米の在中国の文化広報は、日本は残虐に中国侵攻をしたが、米は中国の教育医療その他福利厚生などに色々尽くしたなどとやっていた。英語の達者で海外のソースにアクセスのできる中国人からは、日本も大変ですねと言われたものだ。今やそのポジションが変わり、中国たたきに一生懸命だ。そして、このコロナウイルス騒動は、日本も中国もその他アジア人を一緒くたに一部排斥も起きている。
よく人は、中国のような専制国家に対応するには毅然とした態度で、きちんと日本の自由の理念や価値を言うべきなどと言う。しかし、こうした国で実際に仕事をするのであれば、最初からそのような態度では、もう門前払いで話にならない。米が時として自由民主の価値を掲げる発言をできるのは、後ろに中国より強い軍事力を持っているからだ、力なき正義はないのだ。民主国にはいろいろな意見がある。カルロス・ゴーンの日本の司法批判に怒る同じ人が、例えば佐藤優氏の「国家の罠」に対しては全面賛成だ。同氏とタグを組む鈴木宗男氏は、長い公職追放が解け、今や再チャレンジで国会に出ておられる。しかし、同議員は自分を貶めたとして外務省を今だ敵にし、日本領海への最近の中国公船侵入回数並みに質問主意書を乱発し、ただでさえ忙しい官僚を苦しめている。しかし、民主国では忍ばなければならない苦労なのだ。鈴木・佐藤両氏ともイスラエルと関係が密接だ。佐藤氏と共著が多いテレビの某人気コメンテーターは、パレスチナ人に共感を寄せた発言が多いし、ゴーンの日本の司法批判を、日本は起訴までに時間や証拠固めをするので一概に米などと比較できないと非難している。日本は、様々な意見が許容される社会なのだ。
ハリファックス国際安全フォーラムには、約80の民主主義諸国から約300人の安全保障のエキスパートが集まったと聞く、どこの国も安全保障分野担当者は、優秀な人が多い。一番大事な仕事だからだ。しかし、そこで中国が議論されても、そのほとんどは中国を知らないで議論している。英国を論ずるのに、英語も、聖書も、シェークスピアーも知らないただ現代のロンドンのシチーを知るのみで、英国金融の議論をする現象に似る。筆者の経験から、欧米人で中国文化まで深く研究するものは極めて少ない。ライシャワーやエズラ・ボーゲルやケント・カルダー米ジョンズ・ホプキンス教授のような人は極めて少ない。そのカルダー教授は3月3日付けの読売に長いインタビューを寄せ、「ユーラシアと一帯一路」を論じ、膨張する中国にロシア、ドイツ、東欧が引き寄せられている。中国の対外姿勢は本質的に朝貢貿易だ。法に従うかは問題ではない。米と日本と欧州は手をたづさえて多国間合意に基づく新たな国際秩序形成も視野に入れて行動を起こすべきだ。しかし、トランプ政権の「米第一」姿勢はそれを阻害するもので、心配だと述べている。筆者はトランプ後に万一民主党政権になった場合の、日本叩きのほうが心配だ。
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