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2020-03-13 00:00
(連載2)渦中の中国社会と手肌感覚の日中友好
加藤 隆則
汕頭大学長江新聞與伝播学院教授
中国南方を中心に、武漢を含め全国各地の学生がいる。長い外出禁止でへとへとになっているかと思いきや、多くは「食べ過ぎで太った」とあっけらかんとしてる。久々の授業で、ホッとしたいう学生もいる。ただ、農村部ではネット環境が悪いためオンライン授業の条件が整っていない。カメラやマイクがきちんとそろっていなかったり、パソコンを学校においたままで、携帯を使うしかなかったりするケースもある。そうした学生には、別の方法で配慮をし、格差や不公平の生じないように気を使わなければならない。これも難しい中国の現状を反映している。
日本ではしばしば、「習近平政権にとってはかなりの打撃だろうね」「もう一党独裁も持たないんじゃないか」などの話も聞かされたが、いつものことながら、どうもピンと来なかった。日本の対中認識はまだまだ時代に追い付いていない。しかも、隣人が苦しみ、奮闘しているときに、ためにするような政治談議はすべきでないと避けてきた。
だが、国民の健康よりも、政治の打算を優先させるかのような日本政府の対応には疑問も多い。感染症は国境を越えたリスクだが、隣国の事例を他人事だと思っていたツケが回ってきたのではないだろうか。感染騒動の奇異な点だけを取り上げ、「共産党独裁の弊害」だと決めつけてはいなかったか。ここで冷静に事態を振り返ることも、隣国を理解し、さらに自分たちを再認識するうえで貴重なことである。思うところを書いてみたい。
大切なエピソードを一つ綴る。中国に送ったマスクのうち、一部は大学の同級生から送られたものだ。京都出町柳の正院院で住職を務める木村純香(多香子)さんだ。昨年、学生を引率して京都を取材旅行した際、豆腐料理や地元伝統の念仏踊りで学生たちを歓待してくれたうえ、取材の手配でも大変お世話になった。その彼女から小包が届き、中にマスク計5組が入っていたが、それを包んだ和紙には、「山川異域 風月同天 寄諸学生 共結来縁」と墨で書かれていた。今回の新型コロナ感染で、日本から湖北省に送った支援物資の段ボール箱に、「山川異域 風月同天」とあったのが大きな話題となった。もとは、鑑真和上の招請につながるエピソードで、日本から送った漢詩「山川異域 風月同天 寄諸仏子 共結来縁」が出典だが、にわかに脚光を浴びた。彼女は「仏子」を「学生」と書き換え、私の学生たちに届けてくれるよう送ってくれたのだ。彼女は寺院の入り口にも、学生たちが送った感謝状やペナントを飾ってくれている。ありがたい縁である。無味乾燥な政治論議よりも、よほど価値がある。(おわり)
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