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2020-02-21 00:00
(連載1)中国の政治の動向
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
中国の重要な政治日程である全国人民代表大会が延期となった。この会議は、中国の向こう1年の基本方針を承認する極めて大事な会議だ。新型コロナウイルス感染の影響が及ぼすもので、これは習近平政権に対する重大な試練だと見る向きもある。特に習近平は2期10年という、鄧小平が決めた指導者の任期を取り払い、10年にとらわれない永久指導者として権力の集中に邁進してきただけに、このしっぺ返しがどうなるのか注目される。中国経済は2008年のリーマンショック救済のために4兆元という大バラマキ政策で米などの経済を救ったしわ寄せで、その後、鉄鋼製品の過剰生産、国営企業や政府と連携した大企業のみが融資を受けられ、他の民間企業は資金繰りに苦慮するとか、地方政府の莫大な負債問題など問題が山積しだしていた。
習近平政権は、1億台ともいわれる監視カメラを全国に張り巡らせ、その他最新のテクノロジーを駆使しての監視、管理社会をきづきつつあった。言論・学問の自由も抑圧されそれに対する知識人の反発も強かった。習近平の母校である清華大学教授の許章潤は、政権批判で授業停止処分を受け謹慎中のみだが、さっそく今回の新型コロナウイルス騒動の責任を習近平に問う文章を発表、当局によりすぐさま消去された。なお、同教授が自宅謹慎ぐらいで済んでいるのは、米の学者、コロンビア大学ネイサン教授などの強い支援ネッワークを恐れているからとも言われる。また、新型コロナウイルスの危険性を早くから指摘し、仲間に送信していた李医師が、口封じばかりか、流言飛語を流したとして罰を受ける。その後新型コロナウイルスに感染死亡するという痛ましい事件は、中国の歴史で絶えず出る、時の権力者に正義の直言をするが却って罰を受け死に追いやられるというヒーローの物語をほうふつとさせ、一般庶民にも深い同情が起きている。
筆者が接触したある知識人は次のように述べている。西側の一部では、習近平が危ないなどと言っているが、権力の交代はそう簡単なものではない。特に中国においてはだ。習近平が手本とする毛沢東は、大躍進政策の失敗で、3千万人とも言われる餓死者が出て、いったんは表舞台から退いたが、不死鳥のように蘇り、反対派を走資派として叩き、その後文化大革命の中国の知識人にとり大災害をもたらした。それに、今の中国は不思議な情報社会でもある。若者たちはSNSなど自分たちだけの狭い範囲でのコミニュケーションのやり取りで暮らしている。中国の党機関紙の「人民日報」は公称百万部としているが実際はもっと少ない。日本の大新聞より読者は少ないかもしれない。習近平は、悪性腫瘍の手術を受けたこともあり、それが悪化したなどと西側の報道に出たりする。彼は北京中学(日本の高校)を出た、中国政治では初めての、きれいな、皆に分かりやすい普通語をしゃべる政治家だ。毛沢東や鄧小平は、湖南、四川なまりが強く、聞くものは緊張を強いられた。
これから権力闘争で突き落とされるのか、22年の2期目の終了まで全うし平和裏に政権交代になるか、これからの注目点だ。(習近平は、反腐敗で党や軍の幹部を大分切ったのでその恨みを買っているとの一部西側筋の見方について)各国とも陸軍を削減し、その予算を海軍、空軍、サイバー、宇宙などに充てている。軍の組織替えは、時代にあったものだ。
誰かがやらねばならないことだったのだ。軍の関係で述べると、今、米との貿易経済交渉の最前線で活躍している劉鶴副総理も習近平と同じ、党幹部の息子だ。習近平の父親のような大物ではないが、地方幹部だ。文革中不幸にも自殺に追い込まれている。習近平も劉も軍にコネがあった。当時、狂気の中国社会で正気なのは軍だけだった。彼らは、その庇護で生き延び、将来の備えての勉強も出来たのだ。2012年、習近平が次の中国の指導者として推挙されたのは、江沢民、胡錦濤及びそのグールプから、彼は中央に地盤がないので扱いやすいと思われたことが大きい。しかし、政治家はいったん権力を握ると大化けするのだ。(つづく)
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