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2020-02-15 00:00
米中関係を考える
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
日本にとり最大の外交課題は、大国米中との間合いをどうとって生存を図るかだと思う。その米中関係を一言で触れると ラブ・アンド・ヘイトの関係であり、米の政策的には、「関与」か「抑圧」か だと思われる。日中戦争のさなか、国民党軍を指揮指導のために、米国はスティウエル将軍を派遣した。名作「8月の砲声」で第一次大戦の各国の様相をビビッドに描いた米の現代史作家バーバラ・タックマン女史は、同将軍の中国での動静についても本を出している。それを読むと、将軍は中国の腐敗体質や不真面目さにぼやき満載だ。米は表向きは国民党支持で、第二次大戦後の国民党と共産党との内戦では、マーシャル特使を派遣したり仲裁に努めた。だが当時の米国務省の対中報告書は、国民党批判に満ちている。そして共産党に肩入れをしている。その後東西の冷戦下、朝鮮戦争での中国軍との直接対峙を経て、対中”HATE”一色になった。ベトナム戦争の泥沼化からの脱出を狙い、1971年、ニクソン、キッシンジャーは抜き打ちに対中外交を始めた。当時の主な西側各国のうち日本を除くカナダ、英、仏など北米、西欧各国は既に中国と国交を持っていたのでショックは少なかったが、日本には青天の霹靂だった。直前まで米の外交筋の言葉を信じ、国連における台湾、中華民国の常任理事国留任を日本政府は懸命にやっていたのだ。
1989年には天安門事件が起こり、中国における自由と民主弾圧に、米国内世論は強く反発し指弾した。しかし、その後公開された外交文書を読むと、ブッシュ(パパ)大統領は、水面下対中妥協を狙い様々な動きをしていることがうかがわれる。米中の大きな衝突は、1999年、米軍機が東欧ユーゴスラビアの中国大使館を爆撃(米側は誤爆だと主張)に中国国内での大規模な反米デモだ。北京の米大使館は、暴徒の侵入は中国治安当局が抑えたが、投石により大使館建物の外壁はボロボロになった。警備をわざと緩めた(と米側は見ている)中国西部、成都の米総領事館には、暴徒が押し入り館内が荒らされた。各地の米国公館、企業が被害を受けた。南部の広州の米総領事館は、建物の両側に他の民間の建物があり、玄関口まで距離があった。それで投石も届きにくくあまり被害はなかったが、暴徒はその帰路、米の東欧での活動を後方支援していたドイツ総領事館に襲い掛かり、同総領事館が入っているビルをめちゃくちゃに壊した。西欧の学者は、日本は、小泉総理の毎年の靖国神社参拝や尖閣国有化での民主党政権の頃の反日デモで、日本の官民の損害が軽微だ。日本人は対中国の経験が長いので、ビヘービアを心得ていると述べる向きもある。
最大の転換点となったのは、ブッシュ(ジュニア)大統領時代の2001年9月11日の同時多発テロ事件だ。米は、当時から問題となっていた新疆地区でのウイグル人弾圧やその他の少数民族抑圧に目をつぶり中国と手を握った。中国は米のアフガニスタン侵攻を支援し、戦後の復興資金提供も行っている。ちょうどこの米中蜜月の時期は、SARSが中国、香港などで流行した時期と重なるが、今回の新型コロナウイルスは、米中貿易戦争への緩和剤になるのか注目されるところだ。この「同時多発テロ事件」の際、米マスコミなどが盛んに取り上げたのが、これは日本の「真珠湾攻撃」だということだ。西欧の学者の一人が、私に、頭を振りながらこう述べた。「米は相変わらずの歴史音痴だ。日本の真珠湾攻撃は日本の戦略的奇襲であり、米のシビリアンの損害はなきに等しい。米の政策決定者は当然日本の行動を予期できたはずだ。それに日本は、米の国力、ひいてはそのライフスタイル打破を目指したし、その能力があった。テロリストには、そうした能力はない。破壊のための破壊だ。
トランプ政権下でも、米はひところしきりに、中国の一帯一路への米中協力をうたい、米企業にハッパをかけ、中国国有企業との協力も働きかけたりしていた。国連での北朝鮮制裁決議での中国の尽力を称え「中国の重要な後援に感謝する」と公式な場面で述べている。テラーソン前国務長官は、中国が従来から粘り強く提唱しているいわゆるG2(新型大国関係)を認める発言さえしている。この2月4日のトランプ大統領一般教書演説でも、北朝鮮や金正恩には全く触れていないが、友人の習近平主席について触れ、中国での新型コロナウイルス流行に連携を図っていると述べている。その後、トランプ大統領は習近平主席と電話会談をしている。ある米学者は、「人が困っているときに手を差し伸べる。米国人の深層心理に深く刻まれているのだ」と述べる一方「トランプ政権支持層の底流にある、白人優越主義、東西冷戦の時の主敵のソ連は白人(コウカシアン)だったが、今の中国との対決は、白人対非白人の対決なのだ。将来を悲観する」と述べている。
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