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2020-02-11 00:00
(連載1)中国‘真の友’発言の波紋
倉西 雅子
政治学者
新型コロナウイルス肺炎の全世界的な感染拡大を受け、アメリカ政府が、入国禁止措置を採ったことに対して、中国政府は、‘困っている時の友が真の友’だと憤慨しているそうです。‘困っている時の友が真の友’という言い方は、おそらく英語の諺である‘a friend in need is a friend indeed’に由来し、日本語では「まさかの時の友こそ真の友」と一般に訳されています。その後、中国系メディアも、同表現を以って日本国の支援を称賛するようになりました。しかしながら、この言葉、一旦、言葉として口に出た途端に色褪せてしまうようにも思えます。
新型肺炎に関しては、日本国の茂木外相が同様の発言をしたことがはじめなのですが、このケースでは、支援者側が支援を受ける側に対してこの言葉を使っています。同外相は、他意なく中国の心理的な負担を軽くするためにこの言葉を添えたのであれば、日本国側の中国に対するさり気ない心遣いということになりましょう。
この場合には、取り立てて問題とすべき点はないのですが、仮に、同外相が中国に対して何らかのメッセージを込めていたとしますと、この言葉は、若干の‘棘’を含むことになります。どのようなメッセージであるのかと申しますと、それは、「‘真の友達’として助けてあげたのだから、この恩を忘れないように」というものです。もっとも、近年、頓に顕著となっている日本国政府の媚中ぶりからしますと、この可能性は相当に低いと言わざるをえません。
茂木外相に触発されたのか否かは分からないのですが、その一方で、支援を受ける側である中国も、上述したように、この言葉を自ら言い出すようになります。中国系メディアは、日本国による対中支援によって中国人の日本人観が変わった、すなわち、日本国が中国の‘真の友’であることが判明したかのように報じているのです。対中支援によって対日感情が好転することは必ずしも悪いことではないのですが、心理作戦にも長けた中国のことですから、この言葉に、別の意図を読み取ることができるかは考察しておくべきでしょう。(つづく)
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