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2020-01-30 00:00
韓国経済はこの50年で最悪の状況
真田 幸光
大学教員
英国のフィナンシャル・タイムズが「韓国経済が50年ぶりとなる最悪の状況に直面した」とする内容の記事を昨年末に報じています。米中貿易紛争に伴う輸出低迷と半導体不況などが「輸出立国」の韓国に直撃した結果、2019年、2020年の経済成長率が連続で2%台に留まると予想されています。そして、これは中央銀行である韓国銀行が、関連統計を取り始めて以降初めてのこととなるネガティブな事態です。韓国国民が不安を募らせ、内需の冷え込みに繋がる可能性があります。
韓国銀行は2019年11月29日に2019年の経済成長率見通しを2.0%に下方修正し、2019年1月時点の予想値であった2.6%を0.6%も下方修正しました。また、こうした予測を踏まえ、韓国銀行は2020年の成長率見通しも2.5%から2.3%に引き下げています。韓国が2年連続で2.5%以下の経済成長率を記録するのは韓国銀行の記録がある1954年以降で初めてとなります。世界的な金融危機となったリーマンショック直後の2009年には、韓国経済の成長率は0.8%に低下しましたが、翌年には6.8%の成長をし、急速にV字回復を遂げています。また、アジア通貨危機を経験した翌年の1998年にはマイナス5.5%まで落ち込みましたが、1999年に11.3%、2000年に8.9%成長するなど、やはり力強い回復力を示してきました。
金融危機で、実体経済の痛みが少なかった韓国は韓国ウォンの調整なども背景となり、回復が早かったとも言えましょう。しかし、輸出がGDP全体の45%、特に中国本土からの輸出が輸出全体の約4分の1をそれぞれ占め、対中輸出への依存度が高い韓国は、最近の米中貿易紛争による中国本土の成長鈍化の影響は避けられません。即ち、実体経済の痛みから、今回の回復には一定程度の時間が掛かると思われます。
そして更に、現在の韓国は米中双方から、「米国を取るのか、中国本土を取るのか」と外交圧力も受けています。また、産業面では、日本に追いつけぬ中、中国本土の急激な追い上げにあい、今現在は韓国企業の生きる道が狭められています。これに対して、韓国銀行が過去最低水準の1.25%という政策金利を維持し、韓国政府も金融危機以降で最も拡張的な財政政策を取って経済の防衛を図る対応をしていますが、その効果は今のところ、あまり示されていません。韓国経済は、やはりこの50年で最悪の状況にあると見ておくべきではないでしょうか。
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