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2020-01-17 00:00
(連載2)反日問題を考えてみる
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
今の反韓・嫌韓、反日、嫌日についても、知人が話すようにこれで商売になるのでやっている面もあろう。最近日本の出版物やテレビで「日本すごい」、「優秀」、「最高」と賛美が増えているのが気になる。日本がかつて、他のアジア諸国を圧倒的に引き離してダントツのトップだったころには聞かれなかった現象だ。今や、あらゆる面で他のアジア諸国、特に中国、韓国の躍進があり、多くの分野においては日本を追い越してもいる中でのこの賛美は、こうした国々の人からは軽蔑のまなざしで見られるだけで、日本を貶めるだけなのだということが何故分からないのか悲しくなる。この賛美現象も、排外要素(反中、反韓)ぷんぷんだ。狭いナショナリズムは、劣等感との不義の子だとの西欧の賢人の言葉も思い出される。中、韓もそれぞれ同じようなものかも知れない。
一方、日本と中国、韓国との親和力はある。第三国において頼りになるのは、韓国、中国系の人たちだということも多い。イラン・イラク戦争当時、知人がイラクから逃げるに際し、自国官憲の証明書のようなものを要求され、大使館は遠く困ったときに、たまたま、当地に出張サービスのために来られた韓国大使館の担当官が同人の身分を証明するものを発給してくれて助かったということもあった。日本、中国、韓国と国民の性格的にも似たようなところもある。勤勉さ、学習意欲に富むなどだ。また、中国の古典文化、孔子、孟子、唐詩などある程度知っている。これらは三国が共有する財産と言ってもよいだろう。
しかし、三国とも今や国内政治第一だ。特に中国、韓国は、国内政治引き締め、国内での争点外しを狙い、対日批判を展開する恐れは常にある。特に彼らが歴史問題では日本に貸しがあると考えている限りはだ。両国の歴史教育内容を大転換してくれない限りこれは続くのだ。しかし、12日付けの韓国の聯合ニュースが報じるところによれば、この3月から従来の保守的な内容を刷新し、日本の統治時代に関してより詳しく記述し、慰安婦や旧朝鮮半島出身労働者を扱うのだとの報道もある。これは、ますます日本にとり困った状況だ。また、10日付けの中国の新華社電では、ソウル市長がサンフランシスコの慰安婦像を訪れて敬意を表したと報道しており、中国、韓国の共同戦線での日本叩きも動いているやに感じられる。
両国が今後も濃淡は有るだろうが、反日カードを常に使うものと覚悟する必要があろう。その際、あわてず、騒がず、パニックにならず、特にこちらも反中、反韓にならず、冷静に、あらゆる手段を講じて、うまく身をかわすプラチカルな知恵を巡らせる必要がある。そして、両国に存在する自国政府のやり方を少し冷めた目で見ており、しかし反日反対の声をあげるまでには至らない声なき人々のことを配慮し、荒木氏の述べる一部組織の罠に陥らないように万全の注意を払いつつ対応していくことが必要だ。本問題を一刀両断に解決できる特効薬などないのだ。(おわり)
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