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2019-12-03 00:00
(連載1)2020年の景気見通し
真田 幸光
大学教員
経済予測をしていく際、私は、私の論理を以って、比較的はっきりと私の見方を大胆に説明させていただいてきました。そして私も含め、経済予測をする際には、皆、普通は一定の前提条件を持ち「従って、こうしたことが予測される」と説明されると思いますが、最近の世界情勢とくに日本の現場を見ると、「その前提条件そのものを押さえにくい。従って、前提が崩れ、予測が外れる可能性が高まっている」といえ、更に「前提条件そのものに正反対の見方が出来ることから、予測が少しの違いではなく、全く正反対の結果となる可能性が高まっている」とも言えるのであります。
例えば、現状、世界の株価見通し一つをとって見ても、「上がる」との見方と「下がる」との見方に真っ二つに分かれ、また、その理由が経済のファンダメンタルズのみならず、経済政策や軍事、外交情勢などの読みによって真っ二つに分かれていることから、予測がしにくい。そして、経済ファンダメンタルズではない、そうした要因に深く関与する世界の指導者達の意思決定が、俗に言われる下駄を履くまで分からず、またトランプ大統領のように、意図的に政策意思を曖昧にしてくる指導者もいることから、本当に難しくなっており、困ったものであります。さて、長々と言い訳をしましたが、私は2020年の日本経済については、「年前半は、まだ下がるリスクを抱えている。しかし、年後半からは回復してくる。通年では、2019年の成長率を下回る」と見ています。
即ち、「米国景気は様々な意見があっても、最終的にはトランプ大統領の強いリーダーシップにより、究極的には低下には転じない」、「日本国内は一昨年末から私も強調してきたように、人手不足を背景としたIOT化を意識した省力化、自動化、効率化を図る設備投資が高まっていく」と見ており、これらが下支えになり、本格的な景気後退は回避されると見ています。但し、私は究極の米中覇権争いは継続する、そうした中、米中の情報覇権争いも続き、この結果、米中貿易摩擦の激化懸念や、中国本土経済そのものの行方が懸念される、またBREXITの行方、ドイツやフランスの内憂外患とメルケル首相、マクロン大統領の権力掌握力低下の危険性拡大、それに伴う独仏連携=メルクロン体制弱体化懸念などが残っており、これが欧州景気の減速などに繋がり、これらが来年前半もはっきりとした方向性を見せず、日本経済に対しても、景気を押し下げる圧力となり、2020年前半は停滞気味の推移が続くと予想しています。
日本経済のGDPの約6割を占める「民間消費の軸となる個人消費」は、懸念されてきたように、消費増税による悪影響が尾を引く可能性はあるものの、ポイント還元等の景気対策の効果に加え、労働需給の逼迫などによる現状の雇用環境が、賃金の伸びを支えるであろうことから、総じて見れば、引き続き緩慢な伸びを支えていくと予想しています。但し、ここには日本社会の格差拡大のリスクを孕んでおり、時間軸・社会面から見たリスクを孕んでいることは付記しておきたいと思います。また、「住宅投資」は、駆け込み需要の反動や人口減少を背景とした構造的な要因が景気下押し圧力となり、減速傾向がより顕在化するのではないでしょうか。ここで、住宅投資に絡む不動産・建築業界関係者等の方が期待するのは、公共投資でありましょうが、その公共投資は、災害復旧工事や国土強靭化の為の緊急対策、大型の補正予算の編成が見込まれることから、持ち直しの可能性は十分にあると見ています。(つづく)
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