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2019-11-26 00:00
(連載1)独仏のズレに見るEU地域統合の課題
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
最近イギリスのブレグジットの情勢がいろいろと動いた。イギリスは、ブレグジットの10月31日の期限を延期し、そのうえで、12月12日に総選挙を行う。イギリスの混乱は世界中の知るところだが、その有り様を見てイギリス王室は今後どのように動くのかにも興味が尽きない。
さて、欧州連合(EU)の話をしなければならない。ブレグジットの主体はイギリスだが、イギリスだけに問題があったわけではない。離脱されるEUに関しても、上層部の指導力不足は否定し難い。ブレグジットに関しては、EUよりもイギリスに帰責する論調も多いが、EUそのものの「失政」も原因の一つであることから目を瞑ってはならない。イギリスの大きな不満の一つが独仏ら大陸に多くの主導権を握られている構造的な問題があった。EUにおける許認可などは、当然にドイツとフランスに集中している。そのことから、企業などのすべてのインフラがドイツとフランスに一極集中することになる。シェンゲン協定によって、人材も自由に国境を越えられるようになったため優秀な人材もドイツとフランスに吸い寄せられていく。日本における東京と地方都市のような人や資本の流れを想像すると良い。ドイツとフランスに人と物が集積していく一方で、他の国では「過疎化」と「富の収奪による枯草化」が進行してゆくのである。この状況に最も早く強く反応したのがイギリスで、起きたことがブレグジットである。
それはそれとして、今まではイギリスのような充分な「刈り取り場」があったからこそ、EUの中にフランスとドイツが同じような歩調を取って存在することが出来た。ところが、ブレグジットの話が進むと、フランスとドイツという2つの指導国の間で不協和音が生じることになった。
マクロン氏は、今月7日英紙の取材に対し、トルコやシリアの厳しい情勢を踏まえ、米国が欧州に背を向ける状況を「脳死」と比喩した上で、欧州が自律的な軍事力を持つべきだと主張した。マクロン氏の発言について、メルケル氏はすぐさま「過激だ。NATOは現在も未来も欧州安全保障の礎石である」と反論した。EUの基本姿勢は、欧州諸国が結束し米ソ冷戦に対応することにあった。そのため、欧州統合のプロセスは、その形式は別にして、まずは資源の輸入、次に経済連携、と段階を踏み現在のEUのような地域統合に進んだのである。(つづく)
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