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2019-11-19 00:00
(連載1)国民性と物価の関係
岡本 裕明
海外事業経営者
欧州中央銀行のマリオ・ドラギ氏が10月末で退任しました。2011年に就任、欧州危機のさなか、利下げを通じて強い姿勢を示したことで「スーパーマリオ」の異名を取り、マイナス金利に量的緩和など積極策をとったものの最近はさっぱりその功名が聞こえてこなかったのは結局、姿勢は見せたが成果が出なかったことにあります。どちらかといえばドイツ銀行問題などで欧州金融機関の収益性や健全性に無理を与え、その傷はいやされることなく、ラガルド総裁体制に変わります。
このドラギ総裁のとった手段とその後の歩みは日銀の黒田総裁とそっくり同じであり、ある意味興味深いところであります。物価上昇率2%への道はあまりにも遠かったということでしょう。最近では、2%は果たして意味ある目標値なのか、という議論もあります。かつては上がりすぎる物価への対策は経済運営者にとっては最重要課題でありましたが、近年は低すぎる物価に対して有効な手段が見いだせない状態に陥っているようです。
物価が上がりすぎて困った時代の要因を思い出してみましょう。石油ショックなど資源価格の高騰、人件費や材料費の高騰、中南米に見られた為替の急激な変化、総需要が供給を上回るといったことが主因でした。国によって違いますが、おおむね戦後の国家再構築にかかる需要増の寄与が大きかったのです。例えば、個人で最も高額な出費とされる住宅についてはどこの国でも持ち家比率がおおむね2/3(60%中盤)程度までは一義的に上昇する傾向があります。事実、主要国では戦後、時間をかけてその比率が60-65%程度までじわじわと上昇していきます。その間、北米ですら金利が10%以上の二桁だった時代もあり、総需要がいかに高かったかを物語りました。ところがこの持ち家比率のマジック数字に到達した途端、住宅市場は自然需要にとって代わります。
しかし多くの欧米の専門家には「あの暗黒のような高金利時代が再びやってくる」と90年代ごろでも信じられていたのです。では資源はどうでしょうか?73年の石油ショックを機に各国は資源の安定確保に邁進すると同時に代替エネルギー源を求めました。その一つが原子力でありました。今、それは風力や太陽光にとって代わりつつありますが、少なくとも「石油の埋蔵量はあと〇〇年分」といった人々をパニックに陥れるような話は皆目聞かれなくなりました。いわゆるハイパーインフレも最近は減ってきています。(つづく)
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