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2019-11-13 00:00
(連載2)中国デジタル通貨の潜在的脅威
倉西 雅子
政治学者
例えば、他国の消費者が、世界大に張り巡らされた中国系IT大手のオンライン事業を介して売買を行うに際し、デジタル人民元の使用を義務付ければ、中国通貨は非中国人同士の取引にまで使用可能となります。既に国によっては華僑ネットワークが存在すると共に中国系の人々が多数居住していますし、スマホ決済は人民元圏の普及を後押し得るでしょう。また、貿易決済のみならず、中国系企業と何らかのビジネス関係があったり、資本、業務、技術開発の面において提携していたりする民間企業は世界中に数多くあります。こうした取引にもデジタル人民元が使用されれば、人民元圏の拡大は加速します。さらに国家レベルでは、中東諸国において既にこの動きが見られますが、天然資源等の国家貿易の決済通貨としてデジタル人民元が使用されれば、外貨準備としての需要も高まることでしょう。
このように、デジタル人民元は、個人レベルの送金や支払、企業レベルの貿易決済、取引、投資、並びに、国家レベルの経済関係といった重層的なルートを介して全世界を人民元圏に塗り替えるポテンシャルがあります。デジタル人民元は、国際基軸通貨と言うよりは、‘グローバル通貨’を目指しているといえるでしょう。では、一見、実現可能な構想のように見えるのですが、中国が熱望する‘夢’は、その野望通りに実現するのでしょうか。
リブラ構想が各国から激しい抵抗を受けたように、中国のデジタル人民元構想に対しても、他の諸国が黙っているとは思えません。何故ならば、この構想が実現すれば、各国は、自国の通貨発行権のみならず、金融政策の権限まで失いかねないからです。そう思えば、リブラ構想が世に問われたことは我々にとって非常に良い教材となりました。今日、リブラを通してデジタル人民元が内包する問題点をも人々が明確に認識するところとなったからです。
ドルの地位を脅かされるアメリカや、中国との間に経済関係を有する日本国をはじめ、全世界の諸国は、リブラ構想の影で進行しているデジタル人民元構想に対しても、同等、あるいは、それ以上に警戒すべきではないかと思うのです。(おわり)
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