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2007-05-22 00:00
連載投稿(2)日中は相互学習から信頼関係を構築せよ
服部健治
愛知大学現代中国学部教授
発展の歪みを是正し、調和社会の実現をめざす胡錦濤政権は、蔓延する環境破壊、非効率なエネルギー消費の改善には、日本からの技術とシステムの再導入が必須と考えている。また、反日行動が中国民衆の共産党政権に対する不満の隠れみのになっており、日本との関係悪化が続き、反日暴動が惹起すれば、構造腐敗のひどい現政権に対する攻撃に転化すると危惧された。さらに、近年来の小泉総理の靖国神社参拝に日本国民で異論が多くあったとしても、中国に同調するわけでなく、対中好感度は高まっていないという事実がある。
要するに、参拝をめぐる賛否両論は多様だしても、中国からは批判されたくないという感情は日本人に共有していることが分かってきたことだ。日本に抗議する中国自体、説得力ある態勢が取れていないのが実情である。清潔、公平なイメージのある国家が日本を非難するのであれば、日本のみならず世界に対して説得力をもつが、実態はほど遠い。
垂れ流しの公害事件、それを平気で隠蔽する体質、腐敗汚職と犯罪の蔓延、社会主義を標榜していながら米国よりひどい所得不公平と貧富の格差、公共道徳の衰退、いかにして中国を脱出して海外に定住するかばかり考えている庶民、さらに日本国内での中国人犯罪の多発等々、中国社会は日本の近代史と違って、残念ながら辛亥革命の失敗により、近代資本主義のバックボーンとなった「市民革命」と「産業革命」の洗練を受けていない。
多くの日本人は中国の経済発展に驚嘆し、活用すれども、学ぼうとする考えはない。日本、アジアNIESの発展は、アジアの国々を鼓舞し「雁行型経済発展論」として昇華していった。必要なのは、マックス・ウェーバーが解明した労働に対する倫理性と合理性、そして明治期の日本に形成された公私峻別の観念と「道徳的緊張」(司馬遼太郎)である。中国はまだまだ日本から学んでほしい。信頼はそこから生まれる。(おわり)
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