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2019-10-01 00:00
(連載1)トランプ氏弾劾調査と大統領選挙
岡本 裕明
海外事業経営者
アメリカの大統領選挙が意識され始めたこの時期、やっぱりというか、もうこの段階で戦いの火ぶたが切って落とされた、そんな感じがします。アメリカ下院議長で民主党のナンシー・ペロシ氏は民主党の重鎮で今年79歳。バラバラになりつつある民主党の中ではある意味、かなり安定感を持った党の顔的な存在であります。当然ながら大統領選挙に向けてペロシ氏の果たす役割も大いにあるわけで彼女はトランプ大統領をどう切り崩すか、そちらに精力を傾けます。
今回、報道されたトランプ大統領弾劾調査開始は既報の通りですが、念のためおさらいします。民主党の元副大統領バイデン氏が、副大統領時代にウクライナのガス会社に勤める次男を守るために、そのガス会社を調査しようとした検事総長を解任しようと画策したのではないか。そして、トランプ氏は、ウクライナの大統領に270億円相当の支援協力金を出すことを、このバイデン氏の疑惑をネタにして渋ったのではないか。そんな二つの疑惑が絡まった小説のような話であります。
トランプ大統領は「俺がウクライナ大統領と交信した記録はオープンにしてやる」と息巻いており、疑惑の払拭に努めています。一方、ペロシ議長はこんなことで民主党の有力大統領候補の芽がつぶされてはたまらないと大統領の行為を違法と主張し、大統領弾劾の調査をすると息巻いているのであります。
個人的な見解ですが、これは3つの点でトランプ氏が有利だと思われます。一つは、バイデン氏の情報がアメリカの諜報部門から上がってきている点です。アメリカの諜報能力は優れており、これをバイデン氏なりペロシ氏が反論できるかどうか、私に微妙に感じるのです。もう一点は、ペロシ氏の今回の異様な盛り上がり方こそがバイデン氏の不正行為を裏付ける形に見える点でしょうか。逆に言えば民主党は他に人がいないのか、ということになります。最後に、バイデン氏が民主党の大統領候補から滑り落ちると大統領候補の目玉が居なくなり、圧倒的知名度と一定の実績を積んだトランプ大統領に対抗できなくなるリスクがある点でしょう。(つづく)
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