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2019-09-24 00:00
(連載1)「米中貿易摩擦」から考える企業の責任
赤峰 和彦
自営業
9月1日、トランプ政権は1100億ドル(約12兆円)分の中国製品を対象に制裁関税第4弾を発動しました。すると、即座に中国も米製品に追加関税を課し米中の貿易摩擦はエスカレートしています。これら一連の問題について、国際経済に詳しい友人との意見交換をしたところ新たな視座を得ました。その友人が強調したのは、主にメディアなどで主張される「米中貿易摩擦が世界経済に悪影響を及ぼす」というネガティブな見方について、「悪影響を及ぼすのか否か」とか「悪影響を及ぼしてでもやるべきか否か」とか、そういう観点はそもそも違っているのではないかということです。
米中貿易摩擦では、中国で生産されている製品に高い関税を課されることで、中国製品の価格が押し上げられてしまい、景気を冷やすと懸念されています。しかし、ここで、なぜ中国製品は価格競争力が高いのかという部分に光を当てるべきだというのが私の友人の着眼点です。中国に製造工場を設置している企業は、中国の人件費などの製造コストが安いからわざわざ中国で作っていたわけです。これは、アメリカの企業だけでなく日本の多くの企業も同様です。自国ではできないような企業有利の労働条件下に中国の労働者を置くことで価格競争力を得ている場合もあるということです。全ての企業の商品がそのような犠牲の上に成り立っているとは言いませんが、関税が高くなることで困っているのはそういう企業なわけです。
ですので、目先の利益のためにカントリー・リスクを冒して、決して良いとはいえない国家体制の国に進出したわけですし、リスクが顕在化した時点で企業の社会的責任において、新しい地域での生産に切り替えるべきだったというのが、私の友人の見解です。それにもかかわらず、メディアが「国民にしわ寄せが来る」などと言っているのは、いかにももっともらしいように見えて実のところズレていること甚だしいと言わざるを得ません。本当は、企業が努力すればいいだけの問題であって「国民に負担を押し付ける」との報道は全くの見当違いです。
私の友人がしてくれた問題提起で重要なことは、米中貿易摩擦は両国ともに国内の大手の企業を守るためのもので、決して国民の利益がどうのという次元のものではないという点です。したがって、「国民生活に悪影響が出る」との論理は、考え方を変えれば、物が高くなれば売れなくなるだけだし、国民は買わなければいいという本質から目を背けているということになります。すでに先進国では「大量生産、大量消費」の時代から「多品種少量生産」(数量的には大量生産と同じ)に移行し物が溢れかえっているなかで、人びとの購買意欲は減退しています。日本では、不要な物を減らし生活に調和をもたらそうとする断捨離の考え方を唱える人さえ存在します。実際、今まで手に入っていたものがなくなっても、個人のレベルでは本当はさほど困る問題になる時代ではなくなっています。物が必要だという幻想とサヨナラする丁度いい機会なのかもしれません。(つづく)
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