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2007-05-21 00:00
中国のアフリカ進出と日本の対応
甲斐紀武
日本国際フォーラム所長
チュニジアに暫定本部を置くアフリカ開発銀行は5月中旬にその年次総会を上海で開催し、注目を浴びた。これは同銀行にとってはアフリカ外で開いた2回目の年次総会であり、全体で24カ国が参加した。今次総会は昨年11月の中国アフリカ・サミットに続く中国にとっては大きな政治的な出来事である。
温家宝首相は開会の演説において、「中国は真の経済、社会発展を願ってアフリカを支援している」旨を強調している。しかし、この言明を額面通りに受け止める人はいないであろう。中国の真の狙いは、アフリカの資源確保にある。中国はスーダンに武器援助を行ない、ダルフール紛争の激化を煽っていると欧米諸国から非難されているが(フランス大統領選で、ロワイヤル候補がこの点を激しく非難していたことは良く知られている)、これはスーダンの石油確保のためと言われている。現に中国はスーダンを含めアンゴラなどのアフリカ諸国から原油の30%を輸入している。
更に中国は2001年以来アフリカとの貿易を4倍に伸ばしており、その額は2006年で年間550億ドルに達している。そしてこれを背景として、700の合弁企業を設立している。特に注目すべきは、アフリカ諸国に対し15億ドル以上の債務軽減を実施して、最近では50億ドル規模の中国アフリカ基金を設立していることである。
中国のこのような明確な戦略に基づく密度が濃いアフリカ進出に比べ、日本の大幅な遅れが目だっている。政治体制の違いはあるが、中国が官民一体の進出であるのに対し、日本では両者間に連携は少なく、バラバラである。日本のODAは年間10億ドル相当であるが、貿易額は年額100億ドルと中国の5分の1以下である。更には対アフリカ戦略が欠けている。安保理常任理事国入りでAU(アフリカ連合)の支持を獲得出来なかったのは、戦略不足の結果である。このままでは早晩アフリカ諸国は中国の政治的、経済的な勢力範囲に組み込まれかねない。日本にとっては長期的観点に立った対アフリカ戦略の確立が必要であり、明年開催される第4回TICAD(アフリカ発展のための東京国際会議)を単なる「援助のための援助」の会議に終わらせるべきではなく、日本の対アフリカ戦略を実施する場としての新たな方向付けを行うことが必要である。
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