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2019-09-12 00:00
(連載2)イエメンフーシ派のサウジアラビア侵攻
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
そのフーシ派は、2017年11月以降、複数回にわたり周辺国へ弾道ミサイルを発射した。サウジアラビアに向けて少なくとも2度行っている。1度目はキング・ハーリド国際空港を狙い、2度目はサウジ南西部のハミースムシャイトに向けて攻撃したが、いずれも目的には命中しなかったようで、サウジアラビア政府はミサイルを撃墜したと発表した。
また、そのフーシ派は、イエメン南部アデンで先月10日、ハディ暫定大統領の宮殿などを占拠した。そして、サウジアラビア東部のシェーバー油田に対して無人機10機で大規模な攻撃を加えたとのことだ。特にシェーバー油田は、地図で見ればわかるが、UAEの国境沿いに位置している。イエメンから飛び立ち、かなりの長距離をドローンが移動したのか、あるいは、どこかほかの拠点から発進したのか、いずれにせよイランホルムズ海峡とイエメンを含めアラビア半島南部と、その周辺の海峡では、この出来事がかなり大きな問題になっているのである。
というのも、このフーシ派の無人機攻撃が意味することというのは、すなわち、ほかの海の標的やオマーン・UAEなどを攻撃できる能力をも保有しているのだと判明したことにある。それだけでも脅威だがさらにその背景として押さえておきたいのは、そのドローンを融通したのがイランであり、その製造元は中国であるということである。戦闘機や戦車などと異なるドローンに特徴的な問題の一つは「そのドローンがハッキングされた場合は、だれが飛ばしているのかわからない」ことにある。国籍不明機たるドローンが問題化した場合には、製造元である「中国人民解放軍」が問題視されることもありうる。
まさにこの事件は、「中東におけるアメリカ陣営と中国陣営の武器による分類化」を意味しているのではないだろうか。日本の今後のエネルギー政策や、インド洋政策に非常に大きな影響を及ぼすことになるに違いない。そして、今後の戦争は、単純に軍艦やミサイルだけではなく、「ドローンを動かす電波周波数帯の戦争」になり、周波数の奪い合いを含むサイバー戦争が主戦場の一つになる可能性が十分にある。日本政府も「いつの間にか巻き込まれている」というような状況になる前に準備をし、また、日本の「IT企業」たちもこれらの事態に巻き込まれ、あるいは関与することを踏まえて、対処について考えることは必要であろう。(おわり)
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