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2007-05-21 00:00
連載投稿(1)ようやくこぎつけた日中の「政温経熱」
服部健治
愛知大学現代中国学部教授
4月に来日した温家宝総理の「氷を融かす」旅は成功したといえる。安部総理の「氷を砕く」旅に続く第2弾である。日中両国民にわだかまる桎梏が氷解することは実にいいことだ。中国国内では日本に関する映画、ポップス音楽、マンガなどがにわかに解禁され、若者に受け入れられている。アジアの責任大国たる両国が対立を続けることは、アジアの共生と共存に有益とならない。
中国では胡錦濤政権は「12文字外交」の原則を堅持しているといわれる。まず「以政促経」である。政治が主導して経済関係を密接化する方策である。ロシア、インドへの対応が典型的で、東南アジア諸国もこれに含まれる。次に「以経促政」で、先に経済活動を活発化して、続いて政治関係を密接にする方策である。台湾に対するやり方が好例で、対EU、豪州、南米、アフリカ外交も同様である。3番目は「政経結合」。これはアメリカへの対応である。2006年4月の胡錦濤訪米で「政経分離」の米国と奇妙にも一致した。
こう見てくると、日本との関係はどの方策も適用されず、中国は思いあぐねていた。「政冷経熱」だからといって経済が政治関係を促進させる局面もなかった。日本とは「歴史認識」問題があるからだ。日本側がこれを無視、軽視する態度に出ると、抗日戦争を主導したと喧伝する中国共産党の正当性が傷つき、さらに新中国樹立の正統性を侵害する敏感な行為と映る。
しかし、両首脳の相互訪問で「政温経熱」まで来たことは喜ばしいことだ。当然ながら首脳交流の再開には互いの国内事情が存在する。中国側には、今年秋に開催される第17回共産党大会が影響している。この大会より本格的に胡錦濤体制が確立し始動するからだ。そのためには日本との関係改善が急務であった。(つづく)
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