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2019-08-27 00:00
(連載1)真の国連改革を-残置される敵国条項-
真田 幸光
大学教員
私は、人は、動物であり、他者との優位性を本能的に好み、この結果として、政治体制に於いても、他国よりも自国を優位とする「均衡よりも覇権を好む」という姿勢を示す傾向にあると考えています。ところで、1945年、第二次世界大戦が終結する直前に、アメリカのエメリーリーブスは、「世界連邦構想」を示しました。リーブスの示した「世界連邦」とは、主権を否定した諸国家を支分国とする連邦制の世界国家であり、リーブスは、「平和の解剖The Anatomy of Peace」の中で、「戦争は、平等の主権をもち、一つに統合されない社会単位が接触すれば、場所と時とを問わず起こる」と説き、現代主権国家体制下での戦争の不可避性と世界政府の建設を説きました。
しかし、第二次世界大戦の戦勝国は、そうした均衡の精神に基づく、世界の構築を許さず、しかし、「平和の希求」と言う崇高なる倫理観を否定することはできず、「国際連合」の創設に踏み切りました。ここで、第二次世界大戦の主要戦勝国は、自らが勝利した権益を守る為、国際連合を平等で民主的な組織と見せかけつつも、「国際連合総会の上部組織として安全保障理事会なるものを組織、更に、その安全保障理事会の拒否権を持つ常任理事国に就任し、自らの権益を守る動きを取った」と言えます。こうして見ると、現在の世界は、「第二次世界大戦の戦勝国によって運営されている」と言った見方すら出来るのであります。
そこで、もう少し、国際連合の組織を眺めてみると、「国連とは第二次大戦の“連合国”の意味である」のです。そして、この事を如実に示したものが、「敵国条項」と言われるものです。そして、日本は未だにこの敵国条項に当てはまっている唯一の存在であり、世界的に見ると、「日本は唯一の敗戦国であり、第二次世界大戦の清算すら出来ていない国」となるのであります。
即ち、敵国条項とは、国連憲章第53条、第77条1項b、第107条に規定されており、その内容を端的に言えば、第二次大戦中に連合国の敵国であった国が、戦争の結果確定した事項に反したり、侵略政策を再現する行動等を起こしたりした場合、国際連合加盟国や地域安全保障機構は、安保理の許可がなくとも当該国に対して軍事制裁を科すことができるとしています。(つづく)
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