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2019-08-19 00:00
米国を頼りすぎずにコツコツと
荒木 和博
拓殖大学教授・特定失踪者問題調査会代表
「アメリカは敵と味方を間違える天才だ」とは、インドネシアのある政治家の言葉とか言われています。考えてみれば、イランにしても、近代化を進めていたパーレビ国王が追い出されたときは、米国は冷たかったように思います。今大騒ぎするくらいなら、あのとき支援していればはるかに常識的な国になっていて、米国にとっても安上がりだったのではないでしょうか。
アフガンにしてもイラクにしても米国のやり方は結局マッチポンプのようなもので、さらに言えば日本との戦争にしても日本を開戦に追い込んで、勝ったのは良かったにしても(もちろん米国にとって、ですが)、気付いてみたら日本の向こうにはるかにとんでもないソ連がいて、しかも日本憎しで米国はそのソ連にも膨大な援助をしていました。結局そのソ連を相手の親分として半世紀、冷戦を戦うことになります。中国では日本が引いたことで共産党政権が成立しました。朝鮮半島はいわずもがな。
1994年(平成6年)のジュネーブ合意の後くらいだったでしょうか、米軍の高官が北朝鮮のことを「ソフト・アライアンス」(緩やかな同盟)とか言っていたという話もありました。その後も米国の対北政策は右往左往で、ブッシュ政権など1期目と2期目でも異なりました。今のトランプ大統領も同様に一貫性がありません。この先もどうなるか予測をつけるのは難しいです。
もちろん、アメリカという国は力が強いですし、取りあえず日本と仲は良いのですから、我々としては利用できる限りは利用すべきです。しかし、天才と何とかは紙一重と言いますし、あまりアメリカを頼りにはしない方が良いのではないかと思います。というのも、日本政府の取り組みを見ていると、拉致問題などの重要な懸案を抱える北朝鮮との交渉においてですら、日本は彼らとどう対峙しどんな成果を得たいのかという主体性が十分とは思えません。むしろ、どちらかといえば、米国との調整に気を遣いすぎて、肝心の交渉相手に意識が行っていないような気がします。結局のところ、日本がどうするのか、それに尽きると思います。天才に頼らずに、日本自身が主体性をもってコツコツと政策や交渉をやっていった方が近道ではないかと。
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