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2019-07-30 00:00
(連載1)イラン緊迫、それでも戦争にはならない
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
雑誌や私以外のジャーナリストに、よく「イランとアメリカが戦争をするのではないか」と聞かれる。まあ、そのように考える人も少なくない。また、日本のマスコミは、アメリカとイランが戦争を始めることを期待するかのような報道を平気で行っている。民放がそのような報道をしていると、日本に来ているアメリカ人やイラン人は、あまり良い気持ちがしないであろう。もちろん一触即発になるような行動をとっているのはその両国なのであるが、しかし、それを軍隊も持っていないし、戦争になったら困るはずの日本が、戦争をあおるような報道を、それも衛星放送で世界の人々が見ることができるような状況で行っていること自体に、なんとなく違和感を覚えるのである。
日本のマスコミや野党の人々は、今年5月の日米首脳会談の後に安倍首相がイランに飛んで行って和平に寄与する交渉を行ったこと、それに対してハメネイ最高指導者との会談の最中に日本のタンカーが襲撃されたこと、それらを受けて「安倍が交渉をしても和平がうまくいかなかった」ことについて、日本国内の政局という狭い視点で与党批判をしている。だが、はっきり言って、イランの政治体制や国情に精通していて「交渉できる立場にある」というだけでも、政権は特筆すべき外交力を示している。実際に、ロウハニ大統領、ハメネイ最高指導者と会談・交渉を行うことができることは、間違いなく世界の高い評価を得ることのできるものであり、そのことを批判している人々は、外交の現場を知らないとして、世界の批判の的になるほどのものいいであると自覚すべきだ。
日本のマスコミは、イラクのバクダッドやバスラで爆破テロが起きて人が死んでいる状況を報道しない。これは、単純に日本のマスコミは、安全なところでしか取材をしない、リスクをとって取材をして最も危険な場所の真実を報道する、ということをしないからだ(フリー戦場ジャーナリストのような人々が暗躍し、その人々が、拉致されたり拘束されたりするのは、その延長線上の事象である)。取材のありかたがそのような状況のマスコミが、イランのことをどれくらい知っているのであろうか。そして、そのことを知ったうえで、外交交渉を行うことの難しさを知って、批判しているのであろうか。
さて、イランは日本を信頼している。以前も日章丸事件といわれる百田氏の「海賊と呼ばれた男」の原案となる石油取引と裁判の事件が存在した。そのようにしてイランの経済行為は米英に制限されながらも、日本という国に助けられてきているのである。その日本が和平に動いたということは意味が大きい。アメリカは安倍首相の行為を無視して戦争をすれば、今度は和平に動く人がいなくなる。何しろイスラム教シーア派の国は、シリアもイエメンも内戦中であり、そのためにイランとアメリカや欧米を橋渡しする国はないのである。そのように考えた場合には、日本という切り札を捨てるわけにはいかないし、その無駄遣いはできない。相手が信頼しているアメリカ側陣営の国をうまく使わなければ、イラクやアフガニスタンのように泥沼化してしまい、また、共和党の票が落ちてしまうのである。(つづく)
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