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2019-07-18 00:00
日韓「徴用工問題」の解決試案
加藤 成一
元弁護士
2018年10月30日の韓国大法院(最高裁)による、いわゆる「徴用工判決」を契機として、その後、日韓両国の関係が急速に悪化し、本年7月4日には遂に日本政府による対韓輸出規制措置の発動にまで至った。両国関係悪化の根本原因は、1965年締結の日韓請求権協定第1条及び第2条に基づき、「徴用工」個人の慰謝料請求権を含め、一切の損害賠償請求権問題が完全且つ最終的に解決済みであるにもかかわらず、韓国最高裁による上記請求権協定に反する国際法違反の「徴用工判決」に対して、上記請求権協定に基づきその収拾を図るべき韓国政府の「三権分立」を口実にした事態の放置によるものである。しかしながら、日韓両国の関係がこれ以上悪化することは、日韓両国および日韓両国国民に対して深刻な影響を及ぼしかねず、到底このまま放置できない非常事態と言えよう。そこで、筆者は、「徴用工問題」の全面的な解決試案として、下記の協定条項(案)を提案したい。
(1)日韓両国政府は、1965年に両国間で締結された、日韓基本条約及び日韓請求権協定に基づき、いわゆる「徴用工」(朝鮮人戦時労働者)個人の慰謝料請求権を含む一切の損害賠償請求権問題が、完全且つ最終的に解決されたことを相互に確認する。(2)韓国政府は、上記日韓請求権協定第1条及び第2条に基づき、いわゆる「徴用工」(朝鮮人戦時労働者)個人の慰謝料請求権を含む一切の損害賠償請求権問題について、すべて韓国政府の責任において解決することを承諾し、日本政府および日本企業に対して、いわゆる「徴用工」(朝鮮人戦時労働者)個人が訴訟提起の有無及び判決の有無並びに強制執行の有無を問わず、一切の請求をしないことを確約し保証する。(3)日本政府は、いわゆる「徴用工」(朝鮮人戦時労働者)が、第二次世界大戦中、日本企業において労務に従事し、その労働条件等において不利益や苦痛を受けた事例が存在したことに留意し、改めて遺憾の意を表し真摯に反省し謝罪する。
(4)いわゆる「徴用工」(朝鮮人戦時労働者)の認定の規準及び賠償の規準並びに賠償額の規準等は、訴訟提起の有無及び判決の有無並びに強制執行の有無を問わず、韓国政府においてこれらに関する特別法を制定し、すべて韓国政府の全責任においてこれを定め履行する。(5)日韓両国政府によって締結された本協定は、日韓両国の議会による承認決議の成立を条件とし、成立後にその効力が発生するものとする。(6)日本政府は、本協定の効力発生後において、韓国政府との協議に基づき、本年7月4日韓国政府に対して発動した輸出規制措置を速やかに撤回する。(7)本協定の発効により、いわゆる「徴用工問題」に関して、日韓両国間には以上のほかに一切の債権債務が存在しないことを相互に確認する。
僭越ながら、日本政府におかれては、以上の「解決試案」を参考とされ、早急に韓国政府との協議を開始し、いわゆる「徴用工問題」の全面的解決に向けてご尽力されますことを強く期待する次第である。
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