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2019-07-17 00:00
(連載2)米国にとっての「日米安保破棄」
大井 幸子
国際金融アナリスト
自民党による「55年体制」が確立し、歴代の総理は、「この覚書を異議なく実行します」という覚書にサインしてきた。しかし、サインしなかった総理もいた。石橋湛山氏、そして鳩山由紀夫氏(もそうではないかと言われている)。2009年に民主党政権が誕生した。ちょうど安保条約を見直す時期にあった2010年、継続をどうするか日本側からは返事がなかったらしい。米国は鳩山氏の態度を見て、日本がもはや「安保条約」を続ける気がないと判断したようだ。鳩山内閣は1年で終了し、米国は安保破棄をも視野に入れようとした時に、2011年3月11日。大震災と津波そして福島原発事故が起こった。米軍はトモダチ作戦で日本を支援した。2012年12月に日本は慌ただしく、野田政権から安倍政権へ移行した。自民党は復権を果たし、安倍政権は日米関係の修復に尽力した(2013年年明けからアベノミクスで株価が上昇した)。
そして、2013年4月に日本を縛り続けてきた戦後の復興資金返済が完了し、密約は終わった。しかし、戦後、米国への従属によって利権を確保してきた政治家、官僚、新聞等メディア、財界の一部は、今でもその利権の上に座り続けている。そして何よりも、この密約は朝鮮戦争の継続を前提としていた。しかし、30年前にベルリンの壁が崩壊し、ソ連が崩壊し、中国は米国と貿易戦争をするほどの市場経済を発展させ、戦後レジームは当初の状況からまったく持って変わってしまった。
日本が主権を取り戻したことで、朝鮮戦争休止は必然的に終結へ向かう。トランプ大統領は朝鮮戦争を終わらせたことでノーベル平和賞を受賞したいと切に願っている。そして、北朝鮮を解放し、朝鮮半島を「ドルの海(ドル経済圏)」にするのが商売人トランプの目的だ。北朝鮮を米国の新たな市場にする。そのためには北朝鮮の復興資金を今度は日本に負担させるだろう。
片桐氏が行った小日向白朗氏(池田勇人総理のアドバイザー)へのインタビューには、日米安保の裏にあるアメリカの本音が、米国要人の発言として以下のように示されている。「米中が手を握り、日本の国内がゆすぶられても崩れないような体制になった時には、あの覚書の密約を・・・白紙に戻してもいい・・・アメリカはいつでも喜んで解除するだけの用意はしております」。トランプ大統領は「もうこっちの用意はできている」と言っているのだろう。日本が主体性なく気づかないふり、知らんぷりしている間に、世界情勢はどんどん動いていく。(おわり)
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