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2019-07-11 00:00
中国人若手学者の見方
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
訪日中の中国人若手学者と意見交換をした。当方より、本年度の我が国の『外交青書』で「中国の透明性を欠いた軍事力の強化と一方的な現状変更の試み」について懸念を示しており、他の西側諸国も同じだと述べたところ、次のような話があったのでご参考までに紹介する。
歴史認識について同学者は「我が国は西側の侵略者たちにより中国の国土を荒らされた。西側の侵略者たちに抵抗して戦うということは今や人々の胸に深く刻み込まれている。歴史は最良のテキストであり、カンフル剤でもある。日本はじめ西側諸国の一部では依然として、歴史の真実に目を背け中国への侵略の事実を否定したり、ゆがめたりあまつさえ美化したりしている。過去を忘れたものは必ずまた同じことを繰り返すとは西欧の識者の言葉だが、まったくその通りだと思う。中国は過去の苦い経験から軍備を強化してこそ国の安全を守れるのだと真に悟っているのだ」と述べた。
次に米国社会の現状について「米滞在中の中国人の友人たちのよれば、今、米国社会ではオピオイドなどの麻薬、アルコール依存、自殺が白人貧困層で増えているとのことだ。社会に絶望して希望を失った人々がトランプ大統領の支持基盤とも聞く。20世紀のほとんどの期間で世界をリードしてきた米国が衰退しつつあり、彼らは国家に見捨てられたとの被害者意識から自暴自棄になっているのだ。これはトランプ大統領が政権を去っても変わらないとみられる」、またG20前後でのトランプ大統領の言動について、「トランプ大統領の言動は極めて刹那的でショー的なものだった。米中の貿易問題では、交渉再開で合意しファーウェイ問題で譲歩した。中国が我慢して忍耐強くしていれば、時の流れは中国側に来ると見ている。また、北朝鮮問題でもトランプ大統領は、米国内向けのパーフォマンスで、「見せ場」作りのためだけに板門店での握手外交を行ったのだ」と述べた。
最後に米の日本への対応について「日本は安心しているが、今の中国たたきがひと段落すれば、標的を日本に向け『対日貿易赤字問題』及び『安保ただ乗り』で矛先を日本へ向けてくるだろう。20世紀前半において中国移民ボイコットの後、当時の日米首脳間の親密さにもかかわらず、西海岸のサンフランシスコを発火点として、排日移民法を上下院で可決したことを忘れてはなるまい」と述べていた。
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