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2019-05-23 00:00
衆参ダブル選挙の条件は十分に整ったのか?
伊藤 洋
山梨大学名誉教授
内閣府は、今年3月分の景気動向指数の基調判断を「下方への局面変化」から「悪化」に引き下げた。「悪化」の判断が示されたのは、まさかの6年2カ月ぶりだそうである。その悪化原因として、アベノミクスの失敗ではなくて、中国経済の減速によって対中輸出が鈍り、ために国内企業の生産や出荷が停滞しているためとしている。日本経済が中国経済への依存度を大いに高めていることの証左であるともいう。米中経済戦争のし烈さを見れば、今後、総体として日本経済が悪化すればとてこれが良い方向に展開するとは思えない以上、国内景気のなお一層の悪化は避けられない、ということになる。しからば、やることはただ一つ、消費税の10%への引き上げの中止である。
消費増税の決定は三党合意の「神聖な」約束事であって、あだやおろそかにすべきものではない。それを已む無く実行できないというのであるから、その「不作為」の責任を取って衆議院を解散し、国民の信を問う。解散時期は、ちょうど格好の参議院議員選挙が確定されているのでこれに合わせれば「合理的」である。
こういう三段論法を駆使して衆参ダブル選挙の提案理由は準備万端用意できた。さいわい元号変更による「令和ブーム」・天皇代替わりの「祝賀ムード」という一大ページェントの政治利用に成功して世論調査の内閣支持率はうなぎ上りに堅調。さらに今後、G20会合での活躍場面のNHKによるTV放映と例の女性解説員の好意的解説・トランプ大統領の大相撲観戦と天皇拝謁とそれらへの首相夫妻同伴映像等々、人気を嵩上げする企画は山盛りである。これを利用しない手は無い。カンバンの「アベノミクス」に若干の傷がつくことにしばらく目をつぶれば細工は流々だ。
はてさて、かくして悪化に悪化を続ける財政環境を見て見ぬふりを続けることによって政権は安泰となる。うまくすれば3分の2の改憲勢力の維持も不可能でないかもしれぬ。その上に、憲法を改正して永久政権だって夢ではない。総裁・総理分離論というコペルニクス的転回が人々の口の端に上ってきた。幻想(本当は恐怖)は際限もなくわき起こってくる。しかし待てよ。やれ幼児教育無償化だの、防衛費予算の大盤振る舞いで100兆円を超える今年度予算、その財源は一体全体どうするというの?それは財務省印刷局の印刷機の耐久性の問題であって、油をさして保守さえちゃんとしておけば大丈夫だ。明日は明日の風が吹く。権力維持のための無責任が大手を振ってまかり通る。「政治は倫理の最高実践だ」と言ったのは何時、誰だったっけ?
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