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2007-05-14 00:00
日本外交は自信と誇りと気概を持て
山下 英次
大阪市立大学大学院教授
4月30日付け本欄への拙稿「東アジア共同体に対するASEANの姿勢」に続き、4月26-27日に上海で開催された上海国際問題研究所(SIIS)主催のアジア地域統合に関する国際シンポジウムに参加した感想をご報告したい。
スピーカーは、「ASEAN+3」13カ国に、インドとアメリカを加えた15カ国から、合計30名程度が来ていた。1日半の会議を通じて、アジア地域統合の進め方については、多くの出席者のコンセンサスは、概ね以下のようなものであったように思う。(1)アジア地域統合は、アジアのアイデンティティーを確保するためにも、東アジア・サミット(EAS)の16カ国ではなく、当然のことながら「ASEAN+3」(APT)の13カ国で進めるべきである。(2)そして、APTのリーダーシップは、ASEANが取る(いわゆる”ASEAN in the Driver’s Seat”)。しかし、それは、当面(”for the time being”)のことかもしれない。(3)東アジアのジャイアントは、日中の2カ国である。(4)欧州統合が独仏両国のイニシアティブで推進されてきたことを考えると、アジアのリーダーシップは明らかに本来、日中両国が取るのが自然である。
このように、アジア諸国の人々が、折角、アジアの巨人は日本と中国の2人だと言ってくれているのだから、日本は、自信を持ってそのように、中国とともにアジア地域統合を指導していったらよいではないか?なぜ、APTの13カ国では、中国に主導権を取られるから、日本はEASの16カ国で行くべしなどと、余計なことを考えるのだろうか?中国は、まだ、経済の発展段階が低く、特に交換性のある通貨すら持っていない。域内の通貨的な枠組みをどうするかが、結局のところアジア地域統合の核心になるのは間違いないわけであり、むしろ日本がリーダーシップを取れないわけがない。みなが、アジアの巨人は日中の2人だと言ってくれている間に積極的に行動しないと、そのうち、彼らも、東アジアの巨人は中国1人だと言い出すようになるかもしれない。
日本や、シンガポールがどのように頑張ろうとも、アジア地域統合は、結局のところ、APTの13カ国を中心に進められることになろう。日本がいつまでも、EAS16カ国での推進に固執するとすれば、結局、日本だけがアジアの枠組みから出て行かざるを得なくなる。少なくとも、これまでの日本の外交政策の延長では、日本はそのようなことになってしまうのではないかと、私は大変危惧する。つまり、日本外交は、今まさに岐路に立っているわけであるが、日本政府はそれに気づいているようには思われない。従来通り、いまだに対米絶対追従路線をひた走っている。
アメリカかアジアの二者択一か、というと、多くの日本人にとっては、まだ余りにも選択がハードに過ぎるであろう。だから、私も、いますぐそのように問題設定しようとは思わない。せめて、いま明らかに極端に米国に偏っている外交姿勢を、アジアの方向に少し変えるという政策に、変更することから始めてはどうだろうか?
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