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2019-04-25 00:00
(連載2)電池の開発競争が生み出す未来への第一歩
岡本 裕明
海外事業経営者
一方、ダイムラーベンツ社はアメリカのスタートアップ、シラ ナノテクノロジー社に10%出資し、新型電池の開発を進めると報じられています。これは既存電池の方式に改良を加えることで電池性能を大きく改善する仕組みで、リチウム電池の枠組みからは外れません。
ところが日経にもう一つ、注目したい記事があります。「『全樹脂電池』ついに量産へ、巨大市場を開拓」とあります。この聞きなれない全樹脂電池は慶応大学の先生が推進し、東証一部上場の三洋化成工業と手を組んで量産化体制をするものです。この全樹脂電池があまり認知されていないのは現在の電池の枠組みからかなり外れることで誰も手掛けなかった代物とのことです。ところが記事によると設備投資費用が十分の一から数十分の一に下がり、材料費も半額になるというメリットがあるそうで、新興電気自動車メーカーなどに取り込まれる可能性はありそうです。大手はすでに出資などを通じて関与している全個体電池の普及を急ぐことになるのではないでしょうか?
個人的にはこの全樹脂電池に興味があるのですが、手を組む三洋化成ではマーケティング力が足りないこと、慶応大学の先生の個人的アイディアの一本足打法は過去、日本の新興市場で浮かんでは消え、というパタンを再び繰り返すリスクはあります。私が日系の企業は水平展開が下手、と何度も申し上げているのはこのあたりにあります。せっかくの技術ですからうまくいかしていただけるよう、声援を送りたいと思います。
2025年から30年にかけて世の中は圧倒的変化を迎えます。自動車は電気自動車が主流となり、自動運転になります。また量子コンピューターができ、AIには磨きがかかります。今とは全く違う世界が存在するときが来ます。電池はそんな一翼を担うドラマの一つとなりそうです。(おわり)
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