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2019-04-24 00:00
(連載1)電池の開発競争が生み出す未来への第一歩
岡本 裕明
海外事業経営者
いまや電池といえば電気自動車と反射的にイメージする言葉ですが、新しい電池開発競争が佳境に入っています。多分、2025年には今の電池とはすっかり様相を変えていることでしょう。現在の電池はリチウム電池が主流で、パナソニックがアメリカに持つギガファクトリーを通じてテスラ社に納入しているのが有名かと思います。しかし、世界一の車載電池メーカーは中国のCATLで同社の前身はTDKの電池部門から分離独立した会社で操業7年で世界一にたどり着いています。中国の会社が一気に世界一になった背景は中国政府の電気自動車の後押しという点で実質的政府主導型であったことは否めないでしょう。では日本はなぜ、立ち遅れたのでしょうか?
一つの理由に、ハイブリッドからの脱却が遅れたのが大きく、トヨタがもたらした国内自動車産業でのマイナスの影響力は大きかったと思います。同社は近未来型自動車で覇権を握りたかったのですが、ガソリン車から電気自動車への過渡期を充足するハイブリッドに結果としてしがみついた感じがします。そのトヨタがようやく重い腰を上げたのはアメリカでのHV車の魅力低下、カリフォルニアなどでエコカーとして認識されなくなったこと、VWのディーゼル問題を契機とした欧州での強力な電気自動車開発競争、水素自動車が経産省の煽りもあり、話題倒れになったことなどいろいろ考えられるでしょう。
そうはいっても電気自動車開発においてトヨタが出遅れているとは思えません。現時点では電池を制する者が電気自動車を制する構図になっているからです。その電池は数年前からリチウム電池に変わる電池のアイディアが数々に上がり、それぞれが血眼になって量産化に向け、競争を展開しています。
その最右翼にいるのが全個体電池で安全でエネルギー量が大きいためその量産化が実現すればリチウム電池工場がすっかり入れ替わるであろうとみられています。その実用化は2-3年のうちに始まるはずで、すでにサンプル出荷が始まっています。量産化が安定するのは個人的には2025年ごろになるのではないかとみています。(つづく)
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