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2019-04-19 00:00
(連載2)働き方はどう変わるのだろう?
岡本 裕明
海外事業経営者
それ以外にも例えばイチローさんが引退記者会見をしたのは夜中の12時。その時、イチローさんが冒頭こんなにたくさんの記者の方が…と発言しました。これを裏返せば記者やカメラマンの多くは徹夜作業であったはずです。(記者は取材の後、文章を起こさねばなりません。)この人たちの残業はいったい何時間でしょうか?
企業でストレスをためて自殺や過労死するケースは概ねマネージメント側の職に就く人たちです。そこには業務の範囲はあるようでなく、新たに発生した事案に臨機応変に対応するというフレキシビリティが要求されることも理由です。ここに企業と労働者の歪みがあるのですが、今回の法律では「ざる」になっています。例えばコンピューターソフトのデベロッパー、プログラマー、デザイナーたち。私の知る人たちをみていると時間は関係ありません。案外、夜中の方が誰にも邪魔されないといって黙々とやる人も多いものです。しかしその人たちの職業は高プロのカテゴリーにはありません。
もっと言うならこの法律を「ざる」にする最も簡単な方法は従業員にせず、コントラクト(契約)ベースに変えてしまうのであります。ソフトのデベロッパーを業とする個人事業主たるAさんがB株式会社の開発するソフトウェアの〇〇のところを何日までに完成させるという契約にすればよいのであります。これでこの法律には全く抵触しなくなります。実際、コントラクト(契約)報酬型は北米では非常に多く、ごく普通であります。建設や不動産開発業界でも多くがプロジェクト単位の契約で働いています。
それでは日本は問題が解決できないのではないか、とご意見される方もいらっしゃるでしょう。私は逆で、これで企業と働く人の関係が明白になり、仕事とは技量を売るものであるという本当の意味でのプロフェッショナルリズムが勃興すると考えています。将来、自分の専門性に自信があるなら社員にならず、自分の技量を契約ベースで売り歩く、ということが起きると思います。「ドクターX」のようなものです。この手法の問題点は他社の内容が駄々洩れになる危険であり、これには一定の歯止めをかける手段を考えなくてはいけないでしょう。ただし、今回の法律改正を通じてその趣旨とは違う意味で働き方が変わるきっかけになるような気がしています。(おわり)
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