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2019-04-10 00:00
最近の東アジア情勢について
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
日中関係がひところの半敵対関係状態から、昨年の両首脳会談実施まで好転したと思ったら日韓関係は戦後最悪状態と言われている。昨年12月の自衛隊機への韓国軍艦からのレーダー照射問題、韓国国会議長の「天皇の謝罪」要求、そして、懲用工問題など多彩だ。これら問題発生の根底に、戦後長らく続いたアジアにおける日本の突出した地位が平準化してきたことがある。中韓それぞれにおいて経済をはじめ日本のプレゼンスは急低下した。日本の某防衛関係者は、韓国軍と自衛隊の交流は盤石と考えていただけに、ショックだと述べていた。だが、少し細かく分析してゆくと、日本はそんなに悲観することもないと思われる。
今回ハノイでの米朝合意が出来なかったことで、韓国の文大統領の発言で、直後の3月1日の「三・一独立運動」100周年記念式典のそれが注目されたが、文大統領スピーチの内容は、極めて抑制されたものだった。「朝鮮半島の平和のため日本との協力」などの文言が入り、気にしているように見える。今日本では、韓国はゴールポストを動かしてばかりで、堪忍袋の切れた。「韓国疲れ」症状だなどの声が多い。一方韓国側は、日本が怒ることが合点が行かない。正義は我がほうにあり、日本はもう少し今の世界の流れを知るべきだとの声が強いようだ。日本では国際場裏では日本が百パーセント支持されるとの論説が多いが、木村幹・神戸大学教授など専門家は、必ずしもそうとは言えないとの立場のようだ。橋下・元大阪府知事も日本の甘さをたしなめている。安倍外交はそもそも、日米豪印のダイヤモンドでの対中包囲網を戦略としており、韓国は初めから除外している。この四か国の内情も微妙で、豪印は、なるべく中国との対抗色を薄め、経済などの恩恵に差しさわりがないようにしたいとの態度だ。中心になるべき米は、トランプ大統領の態度が不明確だ。短期的な、自己アピールの場として外交を使っているようにもみられる。EUは米より遠い地域だとして、安保対応で米は手を引く構えを見せているが、アジアにおいても同じ動きをする恐れもある。
最近「米中貿易問題」解決に向け、中国側の責任者、劉鶴副首相とホワイトハウスで会見したが、近く、習近平主席と会い、見切り解決をするのではないかとの声もささやかれている。これは、北朝鮮との対応でも同じで、北の核の保有、中距離ミサイル保有に目をつぶる可能性も出てきている。他の国へだと高圧一辺倒の中国は、米への態度は極めて低姿勢で、3月上旬の全人代(日本の国会に当たる、開催は限られ、中国共産党の提出議案をただ賛成するのみとも言われている)で、トランプの要求する「外商投資法」制定など、米への歩み寄りに必死だ。米も、ファーウエー問題にも表れている、先端技術問題については別途別方向から攻めることにして、中国と手を握る可能性もありうるとの見方も出てきている。中国は日本に対し、現時点では、少しばかり融和的態度だが、これは「一帯一路」の途上国での実施で、最近中国ブランドの評判が悪くなり、優等生の日本ブランドを利用したいとの狙いがアリアリだ。こうして日本を利用しつつ、一方、中国公船の尖閣領域への侵犯は、頻繁に続けている。また、韓国は北との関係改善に全力を出し切り、以前のような日本への配慮対応の余裕エネルギーは残っていないようにも見える。
韓国人知人によれば、政府関係者は、日本は、6月の大阪でのG20開催や、来年のオリンピックなど大型行事満載で、韓国に強く出れる余力などないと見ているそうだ。彼によると若者を中心に韓国から日本へ昨年は752万人以上、今年は800万人以上の観光客が日本へ行き、彼らが日本で落とす金は、中国に次いで2番目に多いそうだ。また、朝鮮半島問題解決を真剣に考えてみると、日本の協力なくしてありえないとの見方もあるそうで、北との関係改善の長い交渉段階で、やはり、民主国家としての韓国の価値観と北の全体主義のそれとでは、必ず衝突すると彼は述べていた。これは、中国においても同じような状況があり、若者を中心に一種の日本ブームの様相もある。同じ東アジアの国としての似たような生活様式で、しかも十分に消化した西側の価値観を備えた社会で、文化、娯楽では極めて若者たちを引き付ける魅力に満ちている。厳格な監視社会の今の中国の体制にあってはこうした動きに当局は激しく反発している。最近、王毅外相は、彼らは「人間の屑」などと発言している。しかし、王は、文革時代に地方へ下放され、悲惨な生活を強いられ、そうした中で日本語、日本文化を深く学び、今の外交の枢要な地位についたのだ。それだけに、少しでも日本への軟弱態度を見せれば即座に袋叩きに会う恐れがあるのだ。ある中国のエリート青年は、「日本モデル」がいつの日か中国の人々の真の生活向上に役立つ日が来ると信じている。その意味でも日本は頑張って頂きたいと述べていたのが印象的だ。中国、韓国とも日本からの発信には浸透しにくい厚いバリアーがあるが、日本社会はありのままの現在の自由と民主を享受する姿を、忍耐強く発信してゆくことが必要だ。そのさい、「夜郎自大」に陥らないように、常に目を光らせておくことが大切だ。
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