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2019-04-05 00:00
(連載2)長短金利逆転が見せる不吉な予感
岡本 裕明
海外事業経営者
この際、株価は大幅な水準訂正を起こし、資金クランチが起きやすくなり、銀行や投資家から追加融資や出資を受けにくくなります。総弱気になり、資金の流動性は下がり、財務体質に問題があったり背伸びをしている会社が行き詰まるのが一般的シナリオです。特に今回の場合、アメリカ以外は金利の下げ余地がないため、マイナス金利が当たり前になり、銀行経営が厳しくなるケースがあり得ます。
ただ、これも比較的早く収まる傾向があり、半年から1年ぐらいの辛抱ではないかと思います。景気後退期は歴史的に見ても比較的短く、そのあとだらだらと長い景気回復期がやってくるのがいつものパタンであります。では、このバブル崩壊はどうやって引き起こされたか、といえば個人的には人為的な引き金と「煽り」ではないかと思います。過去、記憶にあるバブル崩壊はほぼこれで説明がつきます。では今、一番経済が高揚しているところはどこかといえば案外私はアメリカだと思うのです。中国も欧州もずっとドツボにハマったままで高揚感は全くありません。
アメリカの何が高揚感か、絞り込んでみると「トランプ現象」そのもののではないかと思うのです。ある意味、「トランプバブル」であります。アメリカを富ませるために減税し、アメリカ企業の海外滞留資金を国内回帰させ、株価対策を行い、中国との貿易バランスを力づくで行うといった政策はアメリカにとってを心地よい政策でありますが、一方で麻薬のように体質がマヒしてきているように見えるのです。
仮にそんなことが起きればどうなるか、ですが、私の予想はずばり、「バラバラな世界」であります。アメリカの民主党から大統領候補が続々と生まれているように一体感がない世界で自分のテリトリーを守ろうとする社会ができる可能性はあります。もちろん、TPPや貿易の二国間協定などでモノやヒトの流れが突然止まることはありませんが、協調感がない社会が生まれるかもしれません。長短金利逆転とは恐ろしいシナリオがあり得ることは肝に銘じた方がよさそうです。そして今後、数週間の間に米中貿易協定、英国のEU離脱問題を含む様々な重要案件の様子が見えてきます。日本が10連休の時は気をつけろ、というのはそんな真っただ中に10日間も市場が動かないというまずい時期に当たるのが気がかりであります。(おわり)
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