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2019-03-31 00:00
(連載2)「アベノミクス」は安倍政権最大の功績
加藤 成一
元弁護士
フィナンシャル・タイムスや、ニューヨーク・タイムス、ブルームバーグなどの海外メディアは、総じて、安倍政権が推進している経済政策「アベノミクス」による、デフレ脱却、GDP拡大、失業率低下、景気回復などの効果を認め、安倍首相の手腕を高く評価している。これまでのように不安定な短期政権ではなく、安定した長期政権だからこそ経済の回復に成果を上げることができたと指摘している。適切な評価と言えよう。なお、一部の野党は、多くの国民には景気回復の実感がないとアベノミクス効果を否定するが、内閣府による毎年の国民生活に関する世論調査では、生活に「満足」している人の割合は常に7割を超えている。2017年の調査では、「満足」が74.7%と過去最高になっている。これもまた事実なのであり、野党もこの事実を否定はできないであろう。高齢化が進み年金生活者が増大すれば、好景気でも年金収入は変わらないから、収入面で景気回復の「実感」を感じにくい側面もあると思われる。また、立憲民主党、国民民主党、日本共産党などの野党は、「アベノミクス」で格差が拡大したと盛んに批判するが、格差の指標である「ジニ係数」と「相対的貧困率」を見ると、安倍政権になってから、むしろ格差は縮小していることが分かる。厚労省の2014年「所得再配分調査報告書」によれば、「ジニ係数」は0.3759であり、2011年の0.3791より縮小している。また、厚労省の2016年「国民生活基礎調査」によると、2015年の「相対的貧困率」は15.6%であり、2012年の前回調査の16.1%より0.5ポイント減少し、「子供の貧困率」も13.9%と2015年より2.4ポイントも減少しているのである。これら野党の批判は事実に基づかない印象操作と言えよう。
また、一部の野党や学者は、日銀の長期国債やETFの大量保有は実質的な「財政ファイナンス」であり、巨額の財政赤字を抱える日本は、国債の長期金利の上昇や国債の暴落により財政が破綻し、ハイパーインフレの危険性があるから、日銀の「量的・質的金融緩和」を転換し「出口戦略」を実行すべきであると批判している。しかし、日銀による現行の「量的・質的金融緩和」の転換は、現段階では行うべきではない。なぜなら、日銀が達成を目指す2パーセントの物価安定目標は、円高を防止し、デフレを克服し、経済を活性化し、経済成長を促し、財政再建を実現するためである。しかし、まだこの目標は十分には達成されておらず、道半ばであると言えよう。そうだとすれば、もしも、現段階で「出口戦略」を行い、日銀が長期国債やETFの保有を減らして市中への通貨の供給を減少させたり、マイナス金利政策を変更し、政策金利を引き上げるなどの「金融引き締め政策」を実行すれば、円高、株価暴落、国債金利上昇、住宅ローン金利上昇等を引き起こし、企業業績の悪化、失業率上昇、国内消費の減少等をもたらす恐れがあり、デフレ経済に逆戻りして、日本経済は致命的な打撃を受ける危険性が大きいからである。
潤沢な個人金融資産と安定した経常収支黒字並びに国債の93%強が日本国内で消化されているため、日本国債の長期金利(10年物国債の利回り)はマイナス0.070%(3月27日時点)と極めて低く安定しており、長期金利上昇のリスクは小さい。また、「巨額の財政赤字」を抱えているとはいえ、日本は、世界第一位の対外純資産328兆円(2017年)、世界第二位の外貨準備高1兆2593憶ドル(2018年)、巨額の個人金融資産1829兆円(2017年)を保有している。そして、戦後70年間に蓄積された日本の人的、物的、知的財産は強大であり、日本の潜在能力は計り知れない。到底ギリシャのような財政破綻やハイパーインフレに陥る危険性はない。このことは世界の金融市場における「有事の円買い」の事実が証明している。日本は世界一の債権国であり、円は世界的な安全通貨なのである。
立憲民主党、国民民主党、日本共産党などの野党は、統計不正問題などを持ち出してアベノミクス効果を否定し、「景気回復の実感がない」「格差が拡大した」などと「アベノミクス」を批判攻撃するが、前記の通り「格差拡大」は事実に基づかない印象操作であり、アベノミクス効果も多くの客観的経済指標によって証明された厳然たる事実である。批判のみのこれらの野党は、「アベノミクス」に代わり、これを凌駕して、日本経済を成長発展させ、国民生活を向上させるに足りる具体的且つ有効適切な金融財政政策や成長戦略を何ら持ち合わせていない。従って、もしも、有効適切な経済政策を持たないこれらの野党が政権を獲得した場合は、円高、株価暴落、長期金利上昇、税収減少、財政赤字拡大、企業業績悪化、倒産、失業、賃金低下、消費低迷、経常収支赤字など、日本経済は再びデフレ時代に逆戻りし、長期停滞に陥る危険性が極めて大きい。そうだとすれば、なおさら、この6年間に安倍政権が断行した、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略、の三本の矢から成る「アベノミクス」は、20年来のデフレ経済から実際に日本経済を復活再生させ、日本経済の成長発展の道筋を開いた画期的な経済政策であり、安倍政権最大の功績であると言っても決して過言ではないであろう。(おわり)
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