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2019-03-28 00:00
(連載2)衝撃が走ったFRBの金融政策
岡本 裕明
海外事業経営者
パウエル議長はこれを海外の理由にしています。中国や欧州景気が低迷しています。事実、英国もスイスも今般、金利水準を維持しましたし、日銀はさらなる緩和することも視野に入れ始めています。つまり世界中の金利政策が弱気なのにアメリカだけ引き締める理由はないということになります。理由はいくらでも上がるはずですが、基本はモノがあふれすぎているのに対して需要は偏りがあるから、ということでしょうか?企業は製造コストを安くするために新興国発掘に勤しみます。中国が10年ほど前に世界の工場と言われましたがある意味「通過地」であったわけで人件費が上がり、生産性が上がらない中国の時代が過ぎ去ろうとしているのであります。同様に資源開発も進み、70年代の石油ショックのような事態にはなりにくい社会が生まれているのです。
これは世界の経済がより平準化しつつあるともいえ、かつては先進国と新興国、途上国との格差を利用した「経済の水力発電」も高低差が小さくなりました。そのため、景気が異様にヒートアップし、政策金利が10%台などというのはもはや夢の世界で金融政策の神であるFRBですらその目標の高さを読み間違えたということになります。もっと言えばアメリカも欧州も「金融政策の日本化」、つまり上げたくても上げられない金利が待ち受けているのかもしれません。
では株式市場はどうなのかと言えばまごついている、というのが正直な反応であります。本来であれば金利の上昇バイアスがなくなれば株式市場にとっては好材料なのですが、リーマンショックから10年近く続いている景気上昇期の終焉を見て取っているのかもしれません。企業の1-3月決算ももしかしたたら下方修正があるかもしれないと思えばおちおち株も買えないという心配もあるのでしょう。もっと嫌なことを言えば1-3月のアメリカのGDPは年率2%はおろかゼロ%台にとどまるのではないか、と見る向きもあります。個人的にはこれはいくら何でも弱気すぎるとは思いますが、経済統計は概ねよくありません。
世の中、金融政策がうまくいかないときには経済政策を出動させるというのが基本であります。ところが各国中央政府は住宅ローンの厳密化や新税導入、更には最低賃金上昇など政策自体が企業景況感にはマイナス要素が多くなっています。日本でも今年のベアがいまいちなのは企業の体力がそこまでなく、これ以上、首相に利上げ要求をされると経済が壊れるリスクがあったという理解をしています。こうなると2019年の残り9か月は如何に平坦で落ち着いた景気を維持できるか、このあたりが一つのキーポイントになるのではないかと考えています。(おわり)
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