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2019-03-26 00:00
(連載2)私物化を偽装したゴーンの骨折り損
中村 仁
元全国紙記者
一方、日産の現経営陣は役員退職功労金として引当金を立て、決算処理をする方針です。「メモでなく、実力会長が側近に作成させた正式文書、ただし支払わない」と見るのでしょう。裁判でこれらが違法行為なのかどうかを問われます。「違法性はない」との判決が出れば、虚偽記載のは無罪になっても、「文書は取締役会の決定ではない」ならば、90億円は支払われません。退任後の支払いという仕掛けが無効になるわけですから、「骨折り損」に終わります。
まだあります。オランダに置いた日産・三菱統合会社の会長にゴーンが座り、10億円の報酬をひそかに得ました。これも取締役会にかけておらず、損害賠償請求を起こされています。日産の大株主のルノー、ルノーの大株主の仏政府もゴーンの行為を看過するはずがありません。ゴーンによる不透明な操作を裁判で立証し、有罪判決に持ち込むにはハードルが多いと主張する人もおります。日産側の幹部もゴーンのやったことを阻止しなかった責任を問われるという主張も聞きます。
そうだとしても、ゴーンは強大な権限を持っていたし、反対した人物は左遷されるケースが多かったようです。主犯はあくまでゴーンとみるのが正論です。主犯が無罪、共犯が有罪という理屈は通らない。会社法では、「取締役は株主総会で選任され、会社のために善管注意義務を果たし、忠実に職務を行う」と規定しています。きちんとステップを踏み、善管注意義務を果たしていれば、会長解任されることもなければ、未払い分の報酬も受け取れたはずです。
なぜ経営モラルを踏みにじる不透明な工作をして、結局、骨折り損に終わるようなことを次々にしたのか。リーマンショック(08年)で生じた私的な損害が巨額に上り、焦ったのでしょうか。各種の損害賠償請求も起こされると、ゴーンは持ちこたえられるか。ゴーン事件では、経営モラル、違法性の立証、検察の手法、民事訴訟を仕分けして論じるべきです。(おわり)
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