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2019-03-18 00:00
(連載1)「大阪都構想」を評価する
加藤 成一
元弁護士
大阪府の松井一郎知事(大阪維新の会代表)と大阪市の吉村洋文市長(同政調会長)は、3月8日「大阪都構想」への民意を改めて問うため辞職し、4月の統一地方選挙の大阪府議選・市議選と同日(4月7日)に行われる知事・市長のダブル選挙に立場を入れ替えて立候補すると正式に表明した。維新はダブル選の勝利に加え、府議・市議選で過半数を獲得し、維新単独での住民投票議決を目指す。これに対して、「大阪都構想」反対の自民党大阪府連は速やかに対抗馬を擁立した。
「大阪都構想」とは、大阪で検討されている統治機構改革の構想であり、大阪府と大阪市を一体化し、大阪市を廃止して東京23区のような独立した複数の自治体(特別区)に再編する大都市制度の改革案である。その目的は、府・市の一体化による行政の迅速化・効率化と二重行政の解消、住民自治の拡充・住民サービスの向上であるとされる。府・市の一体化により大阪全体の成長発展に向けた統一的戦略に基づく政策を迅速に実行できるようになるから経済が活性化し、その経済効果は1兆円を超えるとされる。また、大規模災害に備えた防災体制の強化など、大阪全体の安心安全の確保に一体的に取り組める利点があるとされる。
「大阪都構想」の実現には、法定協議会(大阪市をなくして新設する特別区の区割りや事務分担などを定めた大阪都構想案を作る機関)で作成した大阪都構想案(協定書)を府・市両議会の過半数の賛成で可決し、且つ、住民投票で過半数の賛成を得ることが必要である。大阪都構想案は府・市両議会で可決されたが、2015年5月の住民投票では反対70万5585票、賛成69万4844票の僅差で否決され同構想案は廃案となった。しかし、同年11月の知事・市長のダブル選挙では、「大阪都構想」実現への再挑戦を掲げた大阪維新の会の松井知事及び吉村市長が圧勝し、再び大阪都制度案が議論されてきた。私事ながら、筆者は大阪に生まれ、40数年間大阪に住み、弁護士現役時代の1999年の大阪府知事選挙(横山ノック知事再選)に「大阪都の実現」を目玉政策に掲げて立候補した経験があるが、大阪人にとっては、東京都と並び立つ「大阪都」の実現は長年の夢であり悲願でもあると言えよう。
「大阪都構想」は、大阪を日本の副首都として、経済的地盤沈下が続く関西経済を活性化し、成長発展させるための抜本的な制度改革であると共に、「大阪都」を副首都とすれば、首都東京の直下型地震などの大規模災害にも対応可能となろう。「大阪都構想」の歴史は古く、1953年の大阪府議会では、大阪府・大阪市を廃止して「大阪産業都」を設置する決議がされた。これは「大阪都構想」である。1967年当時の左藤義詮知事も、府・市を合併する事実上の「大阪都構想」を表明したが、当時の中馬馨大阪市長が反対し実現しなかった。2000年には当時の太田房江知事(現自民党参議院議員)が大阪府と大阪市の統合を目指す「大阪新都構想」を唱えたが、当時の磯村隆文大阪市長が、大阪府から独立した大阪市の「スーパー指定都市構想」を主張し対立した。(つづく)
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