ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2019-03-10 00:00
「対案」無き沖縄県民投票結果
加藤 成一
元弁護士
2月24日沖縄県宜野湾市にある米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設の是非を問う沖縄県民投票が行われ、移設反対が有効投票の72.2%に達し、賛成が19.1%、どちらでもないが8.8%、投票率は52.48%であった。いうまでもなく、住民投票は、住民投票条例に基づき実施され、特定の問題について住民が直接に意思を示す制度であるが、法的拘束力はない。しかし、今回の沖縄県民投票のように、日本国民1億2000万人の生命財産に直結する国防や安全保障など国全体の最重要問題を、もっぱら一部の特定の地域住民の意思のみに委ねることは極めて危険であるのみならず、極めて不合理であり不適切であると言えよう。これらの国の最重要問題についてはもともと住民投票になじまないことは明らかである。ところで、今回の県民投票結果をどう考えるかであるが、まず、47.52%の県民、すなわち、ほぼ二人に一人が投票に行かず棄権した事実は重要である。なぜなら、ほぼ二人に一人がこの問題の賛否について積極的な意思表示をしなかったからである。とりわけ、「どちらでもない」と考える県民の多くは投票には行かず棄権した可能性が大きい。なぜなら、「賛成」「反対」に比べて積極的に投票に行き意思表示をする必要性が少ないと考えられるからである。
とはいえ、今回の県民投票結果を総合的に分析すれば、いわゆる「保守革新」を問わず、多くの県民の意思は、「世界一危険とされる米軍普天間飛行場の1日も早い返還をはじめ、沖縄における米軍基地負担の軽減を求める」ものであることは否定できないであろう。問題は、有効投票の72%の県民が米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対することによって、今後、普天間飛行場が実際に返還され、沖縄の基地負担の軽減がもたらされるかどうかが極めて重要である。そして、この問題を考える場合に重要なことは、米軍普天間飛行場の辺野古移設とは、辺野古に従来からある米軍海兵隊基地(キャンプ・シュワブ)の一部拡張であり、新たな米軍基地の建設ではないとの事実である。しかも、2016年12月20日の最高裁第二小法廷判決(民集70・9・2281)でも述べている通り、辺野古移設により米軍普天間飛行場よりも面積が縮小される、住宅地上空の飛行が回避される、などの利点があることを忘れてはならない。周知のとおり、世界一危険とされる米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設による普天間飛行場の返還は、「日米合意」に基づくものである。したがって、辺野古への移設に反対する以上は、辺野古に代わる具体的且つ合理的で実現可能な「対案」すなわち、辺野古以外の「移設先」を日米両政府に提示する必要がある。そうではなく何らの「対案」も示さず、単に辺野古移設に反対し、普天間飛行場の無条件返還を要求するだけでは、上記「日米合意」がある以上、普天間飛行場の返還が不可能であることは明らかである。
しかるに、玉城沖縄県知事や、今回の県民投票で猛烈な移設反対運動を展開した日本共産党、社民党などの、いわゆる「オール沖縄」陣営は、ひたすら移設反対と米軍普天間飛行場の無条件返還を要求するだけであり、何らの「対案」も示していない。彼ら移設反対派は、沖縄海兵隊は日本を守らないかのように宣伝するが、現に沖縄に海兵隊の基地が存在し、有事に対応できる体制にあるからこそ、対中抑止力として有効なのであり、沖縄から海兵隊基地がなくなれば喜ぶのは沖縄県尖閣諸島を狙う中国であることは明らかである。このように、辺野古への移設に反対する玉城沖縄県知事や「オール沖縄」陣営が、何らの「対案」も一切示さず、今回の沖縄県民投票結果を奇貨として、今後もひたすら「辺野古移設反対」「普天間飛行場無条件返還」を叫ぶだけでは、いつまでたっても米軍普天間飛行場の返還が実現しないことは明らかである。玉城沖縄県知事や「オール沖縄」陣営が、具体的且つ合理的で実現可能な「対案」としての辺野古に代わる「移設先」を示せない以上は、日本政府としては、世界一危険とされる米軍普天間飛行場の一日も早い返還に向けて「日米合意」に基づき辺野古への土砂投入を含む移設工事を進める以外にはない。辺野古への土砂投入を含む移設工事は、2016年12月20日の上記最高裁判決により法的に完全に適法である。
なお、玉城沖縄県知事や「オール沖縄」陣営は、辺野古大浦湾側のいわゆる「軟弱地盤」により埋め立て工事は不可能又は著しく困難であり、多大の費用と時間を要するかの如く主張している。しかし、世界最先端の日本の進んだ最新土木工学技術によれば、地盤改良による埋め立て工事は十分に可能である。超軟弱地盤の羽田空港拡張工事や海上空港の関西国際空港建設工事など、数多くの実績がある。費用と時間についても、これまでのように玉城沖縄県知事や「オール沖縄」陣営が、今後も今回の県民投票結果を奇貨として、再度の「埋め立て承認撤回」など法的手続きなどを乱発して、工事の妨害や引き延ばしを図る徹底的な「移設妨害行為」をしなければ、費用・時間共におのずから合理的な範囲内に収まるのであり、何ら懸念されることはない。
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会