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2019-03-06 00:00
(連載1)世界景気はどこまで不安含みなのか?
岡本 裕明
海外事業経営者
先日、日経新聞にてジムロジャーズ氏がインタビューに応じた記事が掲載されています。日本人から見れば後ろ向き満載です。「中国の企業破綻が世界的な債務危機のきっかけになりかねない」、「次の経済危機はリーマン・ショックを上回る史上最悪のものとなるだろう」、「日本関連の資産は何も持っていない。人口減少という構造的な経済減速の要因に加え、日銀が大量のお金を刷り続け、日本株や国債を買い支えているのも売りの理由だ」と。そして前向きなのはたった一言、「朝鮮半島で投資機会を探している」そうです。ジムロジャーズ氏をどう評価するか様々だと思いますが、好き嫌いは分かれると思います。日本には比較的信奉者は多いと聞いたことがありますが、私からすると過去の人だと思います。
同氏は投資リターンという観点から社会を見ていると思います。ただし、76歳の同氏がみるその視点はやや古いスタンダードをベースにしているように感じます。88歳のウォーレンバフェット氏の投資リターンも最近は華やかしいものではありません。昨年末の株式相場の下落でアメリカの著名ファンドマネージャー達もずいぶん店をたたみました。ニューノーマルは確かに存在し、基準点が変わったことを認識しないと世の中を判断するのは難しい時代になったということでしょう。ロジャーズ氏は昔から地球をエリアで見る傾向があります。オートバイで世界中を回り、地球を俯瞰しやすいシンガポールに居住していることも背景にあるのかもしれません。私も確かに世界経済は先行き茨の道だと書いてきました。中国の下向きの先に何があるのか、戦々恐々としているところもあります。不動産は世界で調整期に入ったと言われています。ですが、そこまで悲観する必要もない、というのが私の持論です。
まずロジャーズ氏からこけにされた日本です。人には基礎代謝というものがあります。これを国家に当てはめると一定の人口とインフラという国家資産を活用し、経済活動から生み出す最低限のGDPが存在するはずです(学者がこのような研究をしたかどうか知りませんが、論理的な解をだせるでしょう)。日本の低成長経済は確かに基礎代謝により一層、近い状態になっているかもしれませんが、一定以上は下がらないというロックボトムがあるともいえます。つまり、日本の経済力は下げ余地がさほどない、と私は見ているのです(上がるかどうかは別です。ただ、企業が安定経営をし、高配当を行うよう努力すれば日本の株を見放すような事態にもならないと考えています)。
次に中国ですが、大きすぎて統治しにくくなってきていること、および共産主義の教義と実態が連動しておらず、共産党員との格差社会を生み出しています。ただ、パクリで始まった技術やノウハウであってもそれを水平展開し、分野によっては世界最高レベルになっているものもあります。日本の経営層は中国との技術差はまだ2年以上と言っていますが、実務層からはほぼ同格か、分野により先を越されているとされます。(つづく)
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