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2019-02-19 00:00
(連載1)ファーウェイ創業者の世界観
加藤 隆則
汕頭大学長江新聞與伝播学院教授
ファーウェイは改革・開放政策がスタートした広東省深センで、1987年に創設された。逮捕された孟晩舟同社副会長の父親で、同社総裁の任正非氏が創業者だ。事件後、彼が昨年9月の時点で行ったという社内講話が、「アメリカが我々を認めなくても、我々はもっとよく5Gを成功させる(そして、多くの西洋の顧客を獲得する)」とのタイトル付きでネットに流れ、話題になった。講話の内容を紹介する前に、任正非氏とファーウェイについて、日本ではあまり報じられない内容に触れておく。
任正非氏の父親は教師で、知識階級の家庭で育った。重慶の大学で建築を学び、人民解放軍で16年間、エンジニアとして働いた経歴がある。軍の機構改革で除隊し、深センの石油会社に就職したものの仕事は不調で、軍時代の友人と電話交換機の販売会社を起業した。中国では「狼心」を持った野心の強い企業人とのイメージが強い。当時としては必ずしも正統とはみなされなかった民営企業を裸一貫で興し、未知の分野を開拓してきた以上、そうした評価も当然だろう。海外ではもっぱら軍出身との経歴がクローズアップされ、共産党政権の意向を受けた「赤い企業人」として語られることが多い。だが、18万人の社員を抱え、世界170か国以上でビジネスを展開している実績を考えれば、もっと多面的に彼と彼の企業を分析する必要がある。
同社の売り上げは半分以上が海外からのものだ。欧米日の先進国だけでなく、アジアにも積極的に事業を展開している。社員持ち株制やCEOの輪番制によって組織の競争力を高める一方、売り上げ全体の10%以上を技術開発に投じている。日本をはじめ欧米の企業や学術機関と共同研究もさかんに進めている。衆目の一致する通り、中国を代表するグローバル企業である。
さて話題の講話だが、ネットに流れた刺激的なタイトルとは別に、内容は極めて冷静な現状分析に基づく世界戦略の哲学が語られている。実際のタイトルは、「人類文明の結晶から、世界の問題を解決する鍵を見つける」だ。国際的な問題を解決する鍵を手に入れるため、哲学、歴史、社会学、心理学など人類の文明の結晶を生かした企業広報の指針づくりを呼びかけている。(つづく)
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