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2007-05-01 00:00
連載投稿(6)求められる6カ国協議の実効性強化
武貞 秀士
防衛省防衛研究所統括研究官
今後、北東アジアでは様々な不安定な事態が予想される。6カ国協議の合意履行が遅れるとき、北朝鮮が大量破壊兵器拡散の動きをすると、北朝鮮への制裁が強化され、不測の事態もありうる。北朝鮮の貿易が縮小してゆき、海外からの船舶の入港にも支障が起こる。そして、北朝鮮の経済に影響が生じるとき、北朝鮮内の不満を外部に転化するという事態もありうる。また、制裁実施の過程で軍事衝突が起こることもありうる。
ただ、最大の不安は、統一政策に絡めた軍事戦略と核戦略を持つ北朝鮮が、統一のための戦争を実行するときである。それは、米韓同盟変化と在韓米軍撤退、韓国社会の変化と北朝鮮の大量破壊兵器開発の完成という3つの条件が揃うときである。在韓米軍が撤退して、北朝鮮の大量破壊兵器開発が順調にゆくとき、「朝鮮半島統一の好機」と判断した北朝鮮が、北朝鮮主導の統一のための戦争を起こすというシナリオは、あり得ないことではない。
もちろん、6カ国協議は貴重な枠組みであるし、米国は岐路に差しかかった中東問題に対処することに専念したいので、朝鮮半島での戦争を回避するべく、6カ国協議を続けるだろう。中国は6カ国協議が続くかぎり、外交的指導力は保証されるので協議を続けたいだろう。日本とロシアにとっても、6か国が集まって協議できる場である。韓国は6カ国協議が続いて、合意のプロセスが続くから、南北協力基金で北朝鮮を支援することができる。6カ国協議が続くとき、北朝鮮は米国の「軍事オプション」を抑止することができ、韓国と中国の支援が保障されるとみている。
いまの6カ国協議は、継続することに、どの国家も反対していないのに、解決に至らないという意味で、複雑なのである。これから、日本、韓国、中国、米国、ロシアの5か国は、北朝鮮の大量破壊兵器開発を、軍事力としての核という側面もあるという共通の認識を持ちながら、対処すべきだろう。解決のための時間を設定しながら、申告、放棄、査察、検証を厳格に実施すること、そのこととエネルギー支援計画を結びつけることが重要になってきた。(おわり)
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